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<灯台紀行・旅日誌>&<花撮り物語>

<灯台>と<花>のフォトエッセー

2021

01/24

Sun.

10:38:49

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>2020南房総編#11 安房白浜灯台撮影

車に戻った。隣にグレーのワンボックスカーが止まっていた。サイドドアーが開いていて、その前で、日焼けした筋肉質の女性が、腰にタオルを巻いて、パンツを脱いでいる。む、一瞬見て目をそらした。水着に着替えているようで、これから<ダイビング>をするような雰囲気だ。美人で、贅肉のない均整の取れた体つき、健康的だ。今回の旅で、唯一<女性>を感じた瞬間だった。

走り出した瞬間に、黄緑の塔も、ダイビング女性のことも頭から消えた。じきに、海にせり出した野島岬が見え、白い灯台も小さく見えた。右手に、広い駐車場が見えたので、急遽、車を寄せた。外に出て、望遠カメラで狙った。だが、遠目すぎる。それに、手前の民家が邪魔だ。写真にはならない。すぐに車を出した。

白浜の野島埼灯台に戻ってきた。海沿いの道だ。白い八角形の灯台に、ちょうど西日があたっている。思い描いていた情景だ。ところが、駐車するスペースがない。片側一車線で、右側は歩道、左側には、大きなホテルがびっしり並んでいる。ハザードをつけて路駐することすら憚られる。

と、白いホテルの間に私道がある。そのわきに一、二台車が止められるスペースがある。むろん私有地だろう。だが、そこしかないのだ。ちょっと行き過ぎたのでバックした。私道に入り、車を私有地に少し寄せて止めた。ま、これなら、脇を車が通れる。なんか言われたら、ごめんなさい、だ。ハザードをつけた。急いでカメラ二台と三脚をもって、道路を渡った。

海沿いの歩道で、ささっと三脚を組み立て、望遠カメラを装着した。瞬時に、アングルを決め、ピントを合わせた。ここぞとばかりシャッターを押しまくった。望遠の方は、すこし寄ったり引いたりもした。背景の雲の様子もいい。撮れたと思った。ものの五分くらいだろう。すぐに引き上げた。幸いにも、無断駐車を、咎められることもなかった。ヒットアンドウェイ!ジジイになったとはいえ、まだまだ素早い行動ができるんだぜ。気分は良かった。

車に乗り込んだ。躊躇っていたことをやり遂げたような気分だった。今度来るときには、灯台に最も近い、このピンクのホテルに泊まるという手もあるな、とフロントウィンドー越しに左側を見上げた。野島埼灯台の前を通り過ぎた。西日。明かりの具合からして、今日はもう正面から撮る必要もあるまい。素通りして、道路沿いのスーパーに寄った。食料の調達だ。下調べの段階では、白浜にスーパーはこの一軒だけだった。

店内は、閑散としていた。弁当売り場を探した。盛りだくさんで、意外に安い。¥500ほど。脇に惣菜コーナーがあり、何か小さな魚のフライがあった。買おうかな、ちょっと迷った。いや、弁当だけで十分だろう。さほど食欲があるわけでもない。あと、朝食用に菓子パンを二つほど買ったような気がする。レジの対応は普通。いや、中年の控え目な女性、おそらく奥さんパートだな、やや感じがよかった。

さて、南房総旅の最後の撮影地。安房白浜灯台へ向かった。海沿いのやや見慣れた光景だ。乙浜漁港があり、泊まっているホテルが見えた。目印の、廃業している工場を右手に確認。その先の細い道を右折。浜沿いの悪路に入った。昨日車の止まっていた駐車スペースが空いている。もっと奥まで乗り入れるつもりだったが、気が変わって、車を寄せた。歩いても、大した距離じゃない。それに、ここなら、万が一にもクラクションを鳴らされる心配はない。

三脚と望遠カメラは車の中に残した。車上荒らしの可能性はほとんどないのだ。何しろ、辺りには、まったく人の気配がない。カメラ一台首にかけ、悪路を歩き始めた。と、向こうからデカいSUVが来る。少し脇により、車をやり過ごした。その際運転者をちらっと見た。いわゆる<釣り人>で、それらしい格好をしていた。サングラスをかけ、すました感じで正面を見ている。なんだか気にくわない野郎だ。自分の縄張りに、でかい車で侵入されたような気分だったのかもしれない。釣り場の下見だろう、行き止まりまで行って、Uターンしてきたんだ。奥まで行かなく正解だったよ。

また、悪路の真ん中を歩いた。水たまりを避けながら、軽登山靴の恩恵を受けた。岩場に立つ灯台が見えてきた。天気がイマイチだった。雲が多い。日差しが少ない。だが、青空が雲間から少し見えている。その、青が尊かった。美しかった。オレンジのカンゾウも、昨日のままだった。しゃがみ込んで、挨拶代わりに一、二枚撮った。背景の灯台はぼかしてみた。

今、撮影写真で確認した。撮り始めたのは午後四時。引き上げたのは午後五時だった。ということは、ほぼ一時間、灯台前の岩場を右往左往していたことになる。たしかに、この間、空の様子は、目まぐるしく変わっていった。とくに、背景の空は、まさに、刻一刻と変化した。雲が流れ、青空が見える。と、その刹那、どこからともなく、また雲が流れきて、青空を隠す。しかも、その雲の形、空の様子は、まさに不定形、変幻自在、一所にとどまることがない。

岩場の間に、打ち捨てられたコンクリの構造物があった。何かの設備の残骸だろう。おそらく、海辺に建っている閉鎖された工場のものだ。だとすると、排水か何かを海に流していたのかもしれない。よいしょ、とその上にのぼった。平均台位の幅の上を少し歩いて、岩場の右側に回り込んだ。自分の背後が西。灯台の右側に、かすかに、西日が当たっている。ただし、少し横にフリすぎている。フォルム的には、さほどきれいな横顔ではない。

その西日にも、しばしば雲がかかる。その度に辺りが薄暗くなり、灯台の魅力が半減する。こういう時は撮ってもしょうがない。と思いつつシャッターを押し続けた。ふと寒いなと思った。海風が冷たかった。薄手のロンT一枚だ。これからは、パーカが必要だな。夏が終わっていたのだ。

遠くに、ぽつんと、豆粒大の白い車が見えた。悪路際に止めた自分の車だ。さらに視線を伸ばすと、海に突き出た岩場に、釣り人のシルエットが見えた。二人いた。海へ向かって竿を大きく振っている。さっきの野郎かもしれない。まだ若いのに、平日のこの時間帯に釣りをしている。いい気なもんだ。とはいえ、灯台の前をちょろちょろしながら、飽きもせず写真を撮ってる爺がいるな、と向こうからは思われていたかもしれない。この世界の中で、たしかに、孤立していた。だが、泣きたくなるような孤独は感じなかった。

西の空を振り返った。勢力を失った太陽が、岬の中ほどに沈んでいく。落日だ。だが、夕日は雲に覆われ、辺りがオレンジ色に染まることはなかった。言ってみれば、中途半端な、そこそこの夕焼けだった。灯台は、断続的に、いくらかの波しぶきを受け、依然として岩場に立っていた。ただし、その表情は暗かった。もう写真にはならない。足元を確かめながら、そろそろと岩場を歩いて、引き返した。

完璧な夕焼け時に、もう一度撮りに来る必要がある。それに、この灯台は、午前中の方が、きれいに撮れるかもしれない。しかしながら、絶対また来る、とは思わなかったような気がする。かといって、納得のいく写真が撮れたわけでもないだろう。見ると、オレンジのお花たちも暗くなっていた。水たまりをよけながら、悪路を歩いて車に戻った。

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2021

01/20

Wed.

10:25:39

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>2020南房総編#10 移動

さてと、これで今日の撮影の山場はほぼ越えた。あとは、宿泊地に戻り、波打ち際の安房白浜灯台を撮るだけだ。少し、ほっとした。漁港を出ると、小さな公園があり、赤い自販機が見えた。隣は、ほぼ廃墟化した土産物店だった。何か、甘いものが飲みたくなった。コーラのボタンを押した。と、取り出し口にあったのはカンのコーラだった。あれ、押したのはボトルのコーラだ。少ししゃがみこんで取り出し口を見ると、なんとボトルのコーラもあった。要するに、誰かが、クジの<当たり>コーラを取り忘れて行ったのだ。これはラッキーだった。カンの栓を上に上げ、口に持っていった。その刹那<まさか毒でも入ってないよな>と思った。が、時すでに遅し。冷たいコーラは口の中で泡を立てていた。うまかった!毒など入っているわけがない。

今日は<房総フラワーライン>で戻るつもりでいた。というのも、館山から白浜までの山越えの道は、早いけど、面白みがない。海岸通りの駐車場に車を止めて、館山湾を見ながら、一息入れるのもいいだろう。五分ほど走ると、思い描いた光景が目の前に広がっていた。サングラスのオヤジが一人、砂浜の、打ち捨てられた白いベンチに座っていた。ボトルのコーラとカメラが脇に置いてあった。

ベンチは誰かの忘れ物だろう。なぜか一脚だけポツンとしていた。こりゃあ~、都合がいい。日射もさほど強くない。ゆったり腰かけて目の前の海を眺めた。沖に大きな貨物船が、何隻も止まっている。館山港に接岸できないのかなと思った。気まぐれに、カメラのファインダーを覗いた。全体的に、薄い雲に覆われていて、ぼうっとしていている。それに、これといった被写体も見当たらない。ま、写真なんか、どうでもいい。

と、砂浜の波打ち際で、何やら男が、スクワットなどをしている。その後ろ姿をよくよく見ると、男には違いないが、爺だ。体操、というか運動してるわけだ。外で運動するには、まだ暑いんじゃないの。余計なお世話か。それよりも、写真撮影から解放されていたからだろうか、館山に関する、記憶の断片が蘇ってきた。

これも実に、甘酸っぱい記憶だ。大学のセミナーハウスが館山にあった。二、三回、たしか上野駅から内房線に乗って来たんだ。記憶が断片的で、錯綜している。ま、比較的鮮明に思い出すのは、三、四人の女の子の顔と、演出ゼミの合宿で、嫌な奴から間違いを指摘されたことだ。だが、今の関心は、そこにはない。セミナーハウスが、どこにあったのか?もう一つは、夜、酔っ払って浜辺へ行ったことがあり、その浜辺とは、どこなのか?あらためて、目の前の情景を眺めた。この広大な館山湾の、どこか一点に、半世紀近く前の夏の晩、たしかに居たことがあるのだ。

ボトルのコーラを飲んだ。もうぬるくなっていた。目の前の爺は、まだ運動をしていた。おいおい、スクワットはさっきやったじゃないか。余計なお世話だが。ベンチから立ち上がった。海を背にして、ベンチの写真を一枚撮った。記念写真だね。車へ向かって歩き出すと、バーベキューだろうか、若い男女数人が、それ用の荷物を抱えて浜へ向かって行った。車に乗った。バーベキューの用意をしている若い男女をちらっと見た。自分の好みとしては、かいがいしく、テキパキと用意をしてくれる女性が好きだ。いや、本気でそう思っているわけじゃない。

走り出した。セミナーハウスはどの辺にあったのだろうか?なぜか、気になった。館山の市街地のはずれには、<館山港>がある。港なら、防波堤灯台がある筈だと思った。きまぐれだ。右折して、港に入って行った。だが、それらしき灯台は見えない。うかうか道なりに走っていくとT字路。正面は自衛隊だった。ええ~、と思いながら、右折。左折すれば、<フラワーライン>に戻ってしまうからだ。さらに岸壁沿いの広め道を走る。釣りなどしている。左手の金網の前では、漁師だろうか、網の手入れをしている。若い男が多いようにも見える。

と、一本道は、通行止め。車から降りて、左方向への坂を見上げた。その時は、その先に何があるのかわからなかった。今調べると、<沖ノ島公園>になっていて、付近は海水浴場だ。要するに、今年はコロナ禍で、海水浴場が閉鎖されているわけだ。なんだか無駄足だ。釈然としない。Uターンした。

途中、岸壁際にとまった。港が一望できた。といっても、さしたる景観でもない。ただ、右側の、山の上に城の天守が小さく見えた。館山城なのか?ちょっと寄ってみたい気もしたが、今回は無理だろう。それから、海の真ん中に、干潟なのだろうか、おびただしい数の海鳥だ。カモメなのか、遠すぎてよく見えなかった。…いま撮った写真で確認すると、干潟ではなく、何かの養殖筏=いけすだった。あと、鳥はカモメでなく、サギの仲間のようだ。つまり、サギたちのコロニーだったのだ。

<房総フラワーラインに>戻った。ふと、昨日見かけた、道路沿いのかなり大きな黄緑色の塔のことを思い出した。見たことない形で、灯台ではないだろう。確かめたい、という好奇心に負けて、右折した。そこは、広い駐車場で、海に面して食堂があった。カメラ一台首にかけて、黄緑の塔に近づいた。そばに、黒い軽のバンが止まっていた。作業車のようだ。車の中には工具などが見えた。だが、人の気配はしない。

塔は金網に囲われていた。公共の建造物なら、門柱などに名前が掲げられているはずだ。金網にそって、周りを少し歩いた。だが、それらしきものは発見できなかった。疑問は増すばかり。奥の方にも行けそうだ。だが、何となく憚れる。小道があったので、塔と少し距離をとった。何しろ大きいのだ。近くにいては画面におさまりきらない。

小道の両側は、荒れ果てた家庭菜園のような感じだった。振り返って、塔を画面におさめた。青空が見えた。だが、ロケーションは最悪。左側に背の高い木立、右側にも背の高い雑草が生い茂っている。それに、近くで見ると、それほど魅かれるフォルムでもない。なにしろ、下の方は、付属している大きな半円形の金属板によって隠されている。全体像が見えないのだ。

ところで、今までの文脈を敷衍するならば、ここで、この塔に関する記述に入るわけだ。だが、今回は勘弁してもらおう。本意ではないが、写真で例示する。要するに、記述できないんだ。いや、しようと思えば、不十分ながら、できないこともない。これまでもそうだった。記述しようとすることが重要なんだ。とはいえ、それには頭を使う。いま、頭を使いたくない。モロイ風に言わせてもらえば、<もう働けません、と頭が言っているんだ>。

来た道を戻った。黒いバンはまだ止まっていた。だが、無人。もう一度金網に近づいた。中を覗いた。名称らしきものは、やはり見つからなかった。ただし、灯台ではない。塔の頭にレンズはなく、無線のアンテナらしきものが、数本直立していた。電波塔なのか?坂を下りて駐車場に戻った。道沿いに少し歩いて、繁茂している植物越しに黄緑の塔を撮った。空の様子はすごくよかった。千切れ雲の間に青空が見えた。

ちなみに、この塔は<伊戸ダイビングサービス>という施設に隣接しているようだ。海上の気象情報を、この大きな黄緑の塔で受信しているのかもしれない。とはいえ、施設のHPを見ても、たしかなことはわからなかった。

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2021

01/17

Sun.

11:03:32

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>2020南房総編#9 船形平島灯台撮影

なんだか、気分が白けてしまった。依然として、照ったり陰ったりの空模様。これ以上粘ったところで、同じだ。それに、この後がある。時計を見たと思う。まだ十一時だった。これから三十分走って、次なる灯台、すなわち、昨日ポカして撮り損ねた船形平島灯台へ行くのだ。

灯台を後にした。狭い、暗い階段を下りた。今日も、屋根のブルーの土嚢が目に入った。ちょっと立ち止まって、母屋の方をうかがった。三、四枚の、ぼろきれのような洗濯物が、風に揺れていた。人の気配はない。階段から降りて、念のために、もう一度商店の中を覗いてみた。薄暗い。誰もいない。駐車料金を入れる柱の箱をちらっと見た。パスすることにした。昨日払っているしな、と罪悪感をなだめた。

走り出した。公衆トイレにまた寄って、用を足した。ふと、二百円払わなかったことを、すごく後悔した。いますぐ戻って、箱に入れよう、と思った。でも、実行しなかった。思い出したくもないが、似たようなことを何度もやってきたような気がする。カネのことじゃない。心の問題だ。駐車料金を踏み倒したのは、そのほんの一例なのだ。たかが二百円、されど二百円、か!

あっという間に、館山の市街地に入った。平日の月曜日、昨日にぎやかだった海岸通りは閑散としていた。砂浜沿いの駐車場にも、ほとんど車が止まっていない。静かでいい。船形の信号をナビに従って左折した。漁港に入る手前を右折、左手の広々した係船岸壁をやり過ごし、少し行くと、視界が開けた。

ナビに指定した神社が道路際に見えた。左手には、腰高のコンクリの防潮堤が続いている。なんとまあ、都合のいいことに、道路の幅が広がっていて、防潮堤際に駐車できるようになっている。おそらく、これは、海の中の灯台を見るために造成されたのだろう。

<船形平島灯台>。灯台本体は、例の特徴的な防波堤灯台の形だ。だが、そのロケーションが素晴らしい。海の中の岩場に立っている。しかも、陸からの距離が近い。ということはつまり、さほどの望遠でなくても、撮れるということだ。それに、夕日が、背後の海の中に落ちる。夕焼けの海に、シルエットになった岩場の灯台が浮かび上がる、という趣向だ。

日没前から日没後まで、防潮堤際に車を止めて、その光景をじっくり狙えるスペースが確保されているのもうれしい。事実、そうして撮った写真を、ネットで見た。あわよくば、自分も撮りたいと思った。だが、今回はその心づもりができていない。今日の夕方は、白浜に戻って、安房白浜灯台を撮るのだ。次の機会だな。館山あたりに宿を取って、またゆっくり撮りに来るさ。

さて、撮影開始だ。三脚に望遠カメラを装着した。防潮堤の縁を行ったり来たりしながら、ベストポジションを探った。しつこいようだが、問題は、灯台と水平線が、垂直に交わる地点を探すことだ。むろん、探せることができる範囲内でだが。はじめは、車を止めた真ん中辺で撮り、次に撮り歩きしながら、駐車スペースの右端まで行った。といっても五十メートルくらいか。だが、モニターすると、灯台が傾いている。あるいは、水平線が傾いでいる。

否応ない、三脚にデカいカメラを装着したまま、肩に担ぎ、右端から左端へ移動した。距離的には百メートルくらいか。駐車スペースの中ほどまで来た。防潮堤に並行に止まっている自分の車を見て、ちょっとの距離だが、このままバックして左端に移動しようと思った。ま、暑かったということもあり、とりあえずは、車内で給水だ。と、黒いSUVがぴゅっと来て、その、今まさに自分が移動しようと思った左端に駐車した。ま、しょうがない。あまり近づきすぎない程度にバックした。

車から三脚に装着したカメラを出した。と、黒のSUVから人が出てきた。上下グレーの地味な初老の男性だ。たしか、白髪だった。<撮影ですか>と十メートルくらい先から声をかけられた。感じは悪くなかった。意外であり、ちょっとどぎまぎした。海の中の灯台をちらっと見ながら、<あの灯台を>と答えた。そのあと、なぜか、言葉が出てこなかった。男性も、それ以上は声をかけてこなかった。そしてそのあと、すぐに車の中に引っこんでしまった。

その場に三脚を立て、海の中の灯台を撮った。モニターしたが、まだ垂直が甘い。さらに、左端へ移動した。その際SUBのナンバーを見た。同じ埼玉の<大宮>だった。なるほど、ご同郷だったのね。SUBの横を通り過ぎた時、窓越しに気配をうかがった。し~んとしている。同乗者がいるのかも、定かでなかった。

ちなみに、今回の旅で、唯一、話しかけられたのが、この男性だった。それもたった一言<撮影ですか>。これは会話になっていない。要するに、ホテルのフロント、あるいはコンビニでの会話は除外して、人間とほとんど話さなかったわけだ。ま、いつものことで、なんということもない。そもそも、人との出会いなど求めていないのだ。

防潮堤の左端に来た。三脚を置いて、灯台にピントを合わせた。撮った画像をすぐにモニターした。灯台と海の、垂直・水平の関係は、先ほどより悪化していた。明らかに傾いている。ということは、さっきの場所が、ベストポジションということか。自分の車が止まっている辺りを目で確かめた。あそこだって傾いていた!補正できるのだろうか、心もとなかった。

そうそう、明かりの具合と空の様子を記述するのを忘れていた。時間的には、お昼前後のトップライトで、全体的に、もあっとしていた。青空はなく、どんよりとした薄い雲に覆われていた。写真的には、難しい感じだ。きれいには撮れていないだろう。もっとも、この<船形平島灯台>に関しては、さほど気落ちしなかった。次回、捲土重来して、美しい夕景を撮るつもりなのだ。

三脚のカメラを左にふった。海の中の防波堤に、かわいい白い灯台が立っている。名前は、この時は知らなかった。昨日も、係船岸壁から撮っているが、見ている角度とロケーションが違う。今日の構図の方がはるかに良い。とはいえ、粘るほどの気持ちは出てこない。それに、雲行きがだんだん怪しくなってきた。引き上げよう。

駐車スペースの左端に、黒のSUVはなかった。そのかわり、軽トラと軽が止まっていた。外で、中年の女性と遊び人風の漁師が立ち話をしていた。来た道を戻った。すぐ右折して係船岸壁に入った。釣り人の車はほとんどなかった。昨日は、赤と白の防波堤灯台を撮るのに、ちょうどいい位置に爺がいた。しめしめと思い、三脚付きのカメラも持って外に出た。水際すれすれに、三脚を立て、構図を探った。しかしながら、空の様子が、ますますおかしい。曇ってきた。いまにも降り出しそうな気配だ。スマホで天気予報を確認した。たしかに曇りマークになっていた。

ほんの十分くらいで切り上げた。車に戻りかけると、どこからか、グレーの乗用車ひゅっと来て、すぐそばに駐車してきた。爺だ。昨日の爺だったのだろうか。確信は持てなかった。ただ、その態度、振る舞いから、明らかに、ここは俺の縄張りだ、ということが見て取れた。はいはい、わかりましたよ。すぐに車を出した。ついでだ、赤い灯台のそばまで行ってみよう。昨日は、釣り人がびっしりいたが、今日は、ほとんどだれもいない。漁港の中を走って、反対側の係船岸壁へ行った。

岸壁は工事中で通行止めだった。だが、脇から抜けられるようになっていた。たらたら走っていくと、左側に高い防波堤が現れ、その突端に赤い防波堤灯台が見えた。岸壁には、大き目な漁船が二艘ほど停泊していた。付近の空いているところに、二、三台乗用車が止まっている。これは釣り人の車だろう。ということは、駐車しても大丈夫、ということだ。

適当なところに車を止めて、外に出た。一応カメラを一台首にかけた。高い堤防の上には、釣り人が二人いた。知り合いのようだ。というのも、さっき、反対側の岸壁から、望遠カメラで親しげに話しているところを見ている。赤い防波堤灯台の前に来た。上の方が少しくびれている、とっくり型だ。そばで見ると意外に大きい。だが、ロケーションが悪い。左に無粋なコンクリの防波堤、右は小汚い巨大な筏のようなもの。それに、空は鉛色だ。

何枚か記念写真を撮り、すぐに引き上げた。車に乗って、今来た道を戻った。通行止めをかわして脇の悪路を走った。岸壁には、えんじ色の波消しブロックが並んでいた。正確に言うと、波消しブロックの、おそらく、鉄製の型だ。その中にコンクリを流し込んで、波消しブロックを作る。おそらく、なかのコンクリが固まったら、型を取り除くのだろう。だから、ずらっと並べているんだ。こう解釈した。初めて見る光景で、少し愉快だった。波消しブロック=テトラポッドは、一個、二十トンほどもあるようだ。今調べて、<へぇ~>だった。

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2021

01/13

Wed.

12:11:05

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>南房総編2020#8 移動~洲埼灯台

しかしながら、お決まりのことではあるが、幸せな時間は、長く続かなかった。遊歩道に、ガタイのいい男が現れた。一人だ。朝の散歩というか運動なのか?案内板などを気のない感じで見ている。<ベンチ>に座りたいのかなと思い、腰を浮かせた。だが、ガタイ男はこちらを振り向きもせず、また遊歩道を歩き始め、向こうへ行ってしまった。岩場の<ベンチ>を占拠して、どのくらいの時間がたっていたのだろうか。灯台も撮り、絶景も満喫し、哲学的思索?もした。潮時だな。引き上げ際に<ベンチ>の写真を丁寧にスナップした。

岩場から降りようとしている時に、例のガタイ男が、消えた方向から再び現れた。そして、ちょうど下に降り立った時、案内板の辺りで鉢合わせになった。むろん、会釈などしない。互いにシカとだ。岩場に登るのかな、とちらっと様子を見た。かわいくない奴だ!男は無表情のまま立ち去った。くすんだ茶のスポーツウェアを着た、体格のいい男が一人、月曜日の観光地で朝の散歩をしている。男が、この時間に、なぜここに居るのか、直感できなかった。話をでっち上げることもできそうだが、それすら億劫だった。

大きな雲が流れていた。不安定な空模様だ。遊歩道を駐車場へ向かって歩いた。何度か、歩きながら、灯台にカメラを向けた。<灯台は撮れた>と思っていたので、雑になった。真剣味に欠けていた。係船されている遊覧船を横眼でちらっと見た。むろん、客などいない。船長らしき爺が、所在ない感じでぶらぶらしている。爺の顔は、見事なほどに褐色だった。いかつい海の男、いや漁師の面構えだが、知性はまるで感じられなかった。

車に戻る前に、脇にあった、公衆便所で用を足した。この便所では、何回も用を足した。むろん大ではなく小の方だ。汚くて、くさいのは、当たり前のこととして甘受していた。とはいえ、毎回使用するたびに目についたものがある。洗面台の横に立てかけられた、なかば破損している黒い安物の三脚だ。そいつは、昨日の朝もあり、今日の朝もある。毎日掃除をしているならば、片付けるだろう。あるいは、忘れ物だからと配慮して、あえてそのままにしているのだろうか?確かなことは、なにひとつわからない。だが、観光地の公衆便所に、破損した三脚が放置されていたことは事実だ。いや、ただちょっと気になっただけだ。

駐車場に入った。何やら、おまわりが二人いる。車の下を覗きこんだりしている。黒い<ポルシェ>だ。隣にはベージュの<軽>が止まっている。それぞれ、若い男と若い女性がそばに立っている。一見して、事故だとわかった。たぶん、<軽>が<ポルシェ>に接触したのだろう。

車をバックで出した。一人のおまわりが、目の前で、まだ<ポルシェ>の検分を続けている、Uターンして、別の出口から出てもいいわけだが、この時は、何となく、野次馬根性が出た。現場をよく見たかったのだ。車の進行方向に、おまわりが立ちはだかっている。いや、懸命に職務に励んでいる。<軽>のナンバープレート見た。<足立>ナンバーだった。<ポルシェ>の方は、ちょっと見えなかったような気もする。ただ、不愛想な表情で突っ立てる若い男は、いかにも金持ちの息子、といった感じだった。

若い女性の方は顔面蒼白、おろおろしている。そばにもう一人のおまわりがいた。駐車場の通路の真ん中に車を停止して、ハンドルに腕をかけ、成り行きを見守っていた。じきに、女性とそばにいたおまわりが、この事態に気づき、検分を続けているおまわりに合図というか、目配せする。だが、検分おまわりは、気づいてか気づかないのか、無視している。

気づかないはずない!通路で車が立ち往生しているのだ。それも自分が通路をふさいでいるがために。要するに、検分おまわりの言い分はこうだ。仕事中なんだ、Uターンして出て行け!ちょっとカチンときて、少し車を前進させた。目の前におまわりがいる。さすがに、検分君は、脇に寄った。ただし、すれ違いざまに、窓に顔を寄せ、睨みつけてきた。若い警察官だった。

駐車場を出た。後味が悪かった。朝っぱらからの事故で、近くの駐在所からバイクで駆けつけた若い警官に、一瞬なりとも、腹を立てたのだ。むろん、警官にも落ち度はあるだろう。駐車場の通路で立ち往生している車に、何らかの指図をすべきだろう。ま、それにしても、年甲斐もないことをしたと反省した。

見通しのいい<房総フラワーライン>を走った。車はほとんどいない。だが、気分は良くなかった。若いおまわりの権力的な態度、それから、<ポルシェ>の若い男の尊大な態度が思い出された。<ポルシェ>は大きく凹んではいなかった。ちょっとした擦り傷だろう。大げさなような気がしたし、何にもまして、若造が<ポルシェ>に乗っていることが気にくわなかった。いや、待てよ、父親から借りてきたということも考えられる。傷つけたら怒られる。物損事故扱いにして修理させようという腹なのか?

もういいだろう。外の景色が目に入ってこなかった。気づいたら、洲埼灯台へと向かう分岐へ来ていた。右折して、昨日も寄った、多少きれいな公衆トイレの駐車場に車を止めた。用を足し、一息ついた。カメラを取りだし、道の方へ少し出て、岬の上にある白い灯台を撮った。背景に青空が広がっていた。とはいえ、構図的には、イマイチどころか、イマサンくらいで、写真にはならない。ま、記念写真だ。

灯台下の駐車場へ行った。昨日とはうって変わって、車は一台も止まっていなかった。外に出た。カメラを一台首にかけた。駐車料金二百円を入れる木製の箱が、柱にかかっている。人の気配がしない。できることなら、所有者の爺さんに手渡したかった。階段脇の、商店の中を覗いた。し~んとしている。商店の脇には、ちゃっちい休憩所があった。その奥に続く、母屋の方を、伸びあがって見た。やはり人の気配はしない。金は帰りに払おう。用意した二個の百円玉をポケットにしまった。

灯台へと向かう、狭い、暗い階段を登った。三階くらいの高さだから、息が切れることもない。それに軽装備だ。洲埼灯台には、誰もいなかった。月曜日の午前中に灯台観光する奴は居ないのだ。ベストポジションは、昨日下見している。といっても、敷地が狭いのだから、北東海側の仕切り壁の辺りしかない。したがって、問題は、いかにきれいに撮るかだ。幸い、背景には、青空が見える。といっても、全体的にはやや曇り空。照ったり陰ったりだ。誰もいないので、少し粘った。

灯台の敷地は、南側と西側の展望がいい。海が見える。日が陰ると、灯台に背を向けて、海を眺めた。とくに、西側がいい。案内板によれば、富士山が見えるはずだ。その方向にじっと目を凝らす。と、何やら、それらしきものが見える。ダメもとで、一枚スナップした。その間、灯台には、二組の観光客がやってきたと思う。一組は老年の夫婦。この方たちは、ひととおり、静かに景観を眺めて、帰って行った。

もう一組は、おそらく学生だと思う。ダサい感じの四人組。彼らは、かなり長居した。おしゃべりは、ま、致し方ない。閉口したのは、<コーラス>だった!木製の展望デッキに上がってきて、自分は、すぐ横の仕切り壁に寄りかかり、海を見ていたのだが、リーダーっぽい奴が、何を血迷ったのか、いきなり歌を歌い出した。一節歌うと、続けて、周りの連中がハモリ始めた。それが、結構長い。黒人霊歌とかブルースならまだしも、いわゆる学生の<コーラス>曲で、聞いていると背中が痒くなるやつだ。

しかも、あきらかに、そばに人がいるのを意識している。否応なしに聞かされたこっちは、たまったもんじゃない。その、なんというか、これ見よがしの態度に、イラっとした。振りむきもせず、そばを離れて、完全無視を貫いた。ま、<コーラス>は、下手ではなかった。名の知れた大学の合唱サークルにでも入っているのだろう。それにしても、平日に、男四人で灯台見物とは、あきれたもんだ。そんなんだから、彼女ができないんだよ。ま、余計なお世話だな。

海に向かって、みんなで一曲ハモッて、気分がよくなったのだろうか。歌い出した奴が、皆に、<行きますか>と促した。なんだか、その言葉遣いにすらイラっとした。そばにいたサングラスのおじさんが、君たちの<コーラス>をどんな思いで聞いていたか、少しは考えた方がいい。だが、おそらく、彼らは他人の思惑など歯牙にもかけず、自信満々、堂々と人生を歩んでいくのだろう。

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2021

01/10

Sun.

11:09:12

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>2020南房総編#7 野島埼灯台撮影2

二日目
たしか、朝の五時か六時ころ、トイレに起きたついでに窓へ行き、カーテンを少しめくって、外の景色を見たような気がする。曇り空で、朝日は見えない。ちょっとがっかりした。また横になり、すこしうとうとして、七時に起きた。洗面、食事、排便、身支度。朝食はブドウパンとあんパン、それに牛乳。ブドウパンはまずかった。一枚食べるのがやっと。排便、小、少し出た。八時ころに、エレベーターで下に下り、受付で、出かけてきますといって鍵を渡した。

晴れマークがついているはずなのに、雲が多い。ナビを、洲埼灯台にセットして出発した。途中、東側から野島埼灯台が撮れる場所に立ち寄った。道沿いに駐車場があり、公園のような感じになっている。昨日、横を通り過ぎた時に、目星をつけておいたのだ。遠目なので、望遠カメラも三脚も持った。朝から、ずっしり重かった。

駐車場の向こうは海だった。手前が芝生広場で、浜辺沿いにちょっとした遊歩道がある。ベンチなども置かれている。灯台の垂直、正対という観点からして、なるべく、海にせり出した所がよい。見回すと、遊歩道は左へと、弓なりに続いている。その遊歩道の終点が何やら、展望スペースになっている感じ。柵もちゃんとある。まあ~、あそこしかないなと思った。迷わず歩き出した。

時間は八時半ちょっと前だったようだ。行き止まりの展望スペースに着いた。脇に、大きな碑が立っていた。海難供養だと思う。正直言って、興味がなく、記念写真すら撮らなかった。それに、さしたる理由もなしに、朝っぱらから、供養碑にカメラを向けるのも、失礼だろう。重いカメラバッグをおろした。三脚を組み立て、柵の前に立てた。肩の高さほどの柵だった。望遠カメラを、彼方の野島岬に向けた。白い灯台が立っている。だが、雲が多い。日差しはほとんどない。全体的に暗い感じだ。スマホを取り出し、天気予報を見た。たしか、九時から晴れマークがついていた。日差しが出るまで、少し、粘ることにした。

昨日の午後の撮影で、風が少し冷たかった。念のためにと、今朝は厚手のパーカを着こんでいる。辺りを見回した。一組か二組、朝の散歩だろう、老人とワンコが見えた。空は、ほぼ雲に覆われていた。写真的には、露出が足らない。暗い。でも、風はなく、静かだ。ファインダーを何度も覗きこみ、これしかないという構図を探しあて、陽射しを待った。その間、柵に肘をかけ、沖を眺めたりした。そういえば、待ちの撮影は、初回の犬吠埼旅以来だ。なんとなく、ほっとしたような気分だ。久しぶりに、撮り歩きの緊張から解放されたのだ。

とはいえ、なかなか陽射しが来ない。やや焦れてきた。海を眺めるのにも飽きて、今度は陸の方を眺めた。砂浜沿いにホテルがあり、海沿いの道にも、大きなホテルが何軒か見える。そのうちの一軒は廃業している。そういえば、今回泊まっているホテルも、名前が変わっている。経営者が変わり、世慣れた、賃金の安い初老の従業員を雇ったのだろう。あり得ることだ。

九時近くになった。ほんのすこし、陽が差し込んだ。だが、写真的には不十分だ。露出が足らない。今一度、空全体を見回した。雲が切れる気配はない。これ以上は無理だろう。ふと思って、スマホで明日の天気予報を見た。朝の八時、九時には曇りマークがついていた。今回は、東側からの写真は、あきらめるほかなかった。むろん、曇り空でもそれなりには撮れた。帰宅後の補正で何とかなるかもしれない。望遠カメラを三脚から外して、バックにしまった。

駐車場に戻った。ちょっと先の、野島埼灯台に寄るつもりで車を出した。道沿いの、船溜に面した駐車場は空いていた。昨日は、日曜日だから混んでたんだ。外に出た。カメラ一台を首に掛け、軽装備で歩き出した。船溜の縁をぐるっと回る感じで、遊歩道に入った。遊覧船乗り場の脇を抜けると、赤い鳥居があり、飛び魚のモニュメントや、石の立派な案内板があった。観光気分で、一枚ずつスナップした。見ると、西の雲が切れて、ところどころに青空が見える。なんと、陽射しが出てきたのだ。

野島埼灯台を、歩き撮りするコースはほぼ決まっていた。昨日、同じ場所を二度歩いている。だが、今日は人がいない。静かでいい。それに、何か、空の様子が不安定で、巨大な積乱雲が、灯台の背後にかかり始めた。ま、千載一遇のチャンスなわけで、ここぞとばかり撮りまくった。しかし、いくらもたたないうちに、どこからか、灰色の大きな雲が流れてきて、陽射しは遮られる。

改めて思った。白い灯台に陽射しが当たるか、当たらないかは、灯台写真の良し悪しを決定する、と。ま、そのために、晴れた日を選んで撮りに来たのだ。まさに、原則に立ち戻って、陽が陰れば撮るのをやめ、陽が差せばまた撮るという、やや焦れったい<撮り歩き>をしながら、ベストポジションの岩場に登りあがった。

昨日は行列のできた<朝日と夕日の見えるベンチ>に、一人、悠々と腰かけ、野島埼灯台を、心ゆくまで撮った。背後の雲の様子といい、陽の当たり具合といい、八角形の、真っ白な、背の高い灯台は、神々しく見えた。しかも、観光客は一人もいない。ベンチを早々に立ち去る必要はない。真っ青な、きらきら光る海をスナップしては、ため息をつき、また灯台に向かう。雲が流れて、空の様子が変わっている。

二人用のベンチに、一人で腰かけていた。だが、寂しさは感じなかった。強がってはいない。360度見渡せる、絶景を独り占めしている。寂しいはずがないし、悲しいはずもない。なぜって、念願がかなっているじゃないか。すっからかんの自由だ。やるべきことからも、やらなければならないことからも解放されている。風と光と灯台と、海と空と無限大の眼差し。これだけで十分だろう。地球上の、ある一点に、今在ることを実感した。ここに来たこと、ここに居ることが、間違いでないと確信した。

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2021

01/06

Wed.

12:43:00

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>南房総編2020#6 ホテル 

車に戻った。何回か切り返して、Uターンした。海沿いの悪路を戻った。依然として、車が道沿いに三台止まっている。人影はない。雲が厚く、うす暗い。だが、時間はまだ三時過ぎだった。

宿にはすぐ着いた。十階建ての白いホテルで、外観はまずまず。駐車場も空いていた。トートバックに、着替え、食料、水、洗面用具などを入れた。カメラバックを背負い、重いトードバックを肩にかけた。入り口で、手の消毒を促され、手首で検温を受けた。初老の男性だ。受付カウンターでは、これまた初老の女性から、丁寧な説明を受けた。そのあと、コロナ関連の書面に署名した。その際、身分証の提示を求められた。何の疑問も持たないで、免許証を財布から出して渡した。料金は、と聞くと、チェックアウトの時だという。あれっと思った。というのも、これまで泊まったホテルは、すべて前金だった。いま思えば、身分証の提示を求められたのも、今回が初めてだった。なるほどね、無銭宿泊はできないのだ。

お掃除はどうしますか、と聞かれたので、しなくていいと答えた。ありがとうございます、と受付の女性が小声で言った。そして、タオルや浴衣などは、廊下に出しておいてください、と付け加えた。さらに、浴衣はそこの棚にありますから、好きなものを持って行って下さい。ふ~ん、促す方向を見た。大きな棚だ。受付を終えて、壁際の棚の前へ行った。柄やサイズの違った浴衣が、整然と収納されている。Lサイズの青っぽい柄の浴衣を選んだ。帯は部屋にあるそうだ。

そうそう、鍵は、細長いプラについた奴だった。エレベーターに乗った。張り紙がしてあった。ひとグループずつで乗りましょう、だったかな、内容的には間違いないと思う。少し感心した。たしかに狭いエレベーターで、赤の他人との同乗は、よろしくない。<三蜜>を避ける、ホテル側の対策だ。九階で降りた。さほど広くもないフロアーなのに、部屋の場所がわからず、少しうろうろした。ま、いい。

部屋に入った。和室だ。ホテルというよりは安旅館の雰囲気だ。調度品なども古い。だが、埃だらけということもなく、そこそこに、掃除はしてあった。臭いもない。値段相応だ。とはいえ、いわゆる<オーシャンビュー>で、窓からの眺めは良かった。しかも、ちょっと前に撮った。乙浜漁港の赤い防波堤灯台が、豆粒大に見える。いまは曇り空だが、天気予報では、四時過ぎから夕方にかけて晴れマークがついている。方向的にも、ちょうど真正面に日が沈む感じだ。部屋の中から、ラクして夕陽が撮れるかもしれない。少し楽しい気分になった。

狭いユニットバスの洗面台で、手の甲と顔を、備え付けのボディーソープで念入りに洗った。日焼け止めがなかなか落ちないような気がしたのだ。そのあと、衣服を脱ぎ、一応、クローゼット?にあった木のハンガーにかけ、鴨居につるした。いや、その前に押し入れから、敷布団と掛布団と枕を出したのかもしれない。座卓を少し移動して、敷布団には洗い立ての敷布をかけ、テレビの前で寝られるようにした。服を脱いだのも、顔を洗う前だったかもしれない。いまとなっては、もう思いだすことができない。

ま、とにかく、浴衣に着替えて、念のため、備え付けの金庫に、財布などの入っているポーチを入れて鍵をかけた。金庫の鍵は、部屋の鍵と一緒に細長いプラ棒についていた。エレベーターに乗り<B>のボタンを押した。地下一階が温泉なのだ。ところが、ささやかな期待は、すぐに裏切られた。脱衣所が狭い。人がいっぱい居た。のみならず、湯船も洗い場も狭い。そこにも人がいっぱい居た。

少し距離を取りながら、湯船につかっていると、同僚なのか仲間なのか、至近距離で日焼けした男たちが話をしている。長居しないで、さっと出た。ところが、不幸は重なるもので、浴衣を入れたロッカーの鍵が開かなくなる。あたふたしていると、あとから来た男に、早くどけといわんばかりの、無言の圧力をかけられた。少し脇によって、男と小さな娘をやり過ごし、また、調子の悪い、小さなロッカーのカギをいじくった。さいわい、なぜか、鍵はあいた。一瞬、脱衣場に電話などないし、素っ裸なのに、どうしようかと途方にくれた。ま、よかった!

早々に部屋に戻った。おそらく、テレビをつけ、脇に寄せた座卓の上で、ノンアルビールを飲み、おにぎりと唐揚げを食べたのだ。唐揚げはまだ、少し暖かくてうまかった。そうそう、この宿の冷蔵庫は、型は古いが効き目はよかった。というか、部屋に入った際に、冷蔵庫の温度を<10>にしておいたのだ。ビールは保冷剤入りのバックに入れて来たから、それだけでも冷えていたのに、さらに冷蔵庫で冷やされ、おかげで、自宅で飲むような冷たさになっていた。うまかったと思う。

メモによると、もっとも今回は<メモ>ですらない走り書きだが、午後四時にホテルに到着したことになっている。だが、窓から望遠で撮った写真の時刻が、17時になっていた。到着して、受付、部屋に入って着替え洗顔、カスタマイズ?温泉、食事。ま~、これだけのことを一時間でやってのけたとは到底思えない。そうだ、食事の途中で、漁港が夕陽に染め上げられたので、写真を撮ったのかもしれない。とはいえ、手持ち望遠で、ピントが危うい。一枚だけ撮ってすぐにあきらめ、また食事を続けた。これなら話が合う。いや、おそらくそうだったのだろう。その際、横着して三脚をもって部屋に入らなかったことを、少し後悔したのを覚えている。

その後、食事を終え、撮影画像のモニターをした、と思う。だが、そのうち、六時ころ、少し寝てしまった。さすがに、朝の三時から動き回っていたのだから、疲れたのだろう。とはいえ、八時ころに起きて、持参したお菓子などを食べたような気がする。もっともまたすぐ、寝てしまった。

夜中に、何回か、トイレに起きたはずだ。その際、窓の外の夜景を見た。右半分は海で真っ暗。ただし、赤いランプが三つ点滅している。うち一つは、間隔が短く、しかも光量が強い。すぐ近くの防波堤に設置されているのだろう。ただし、防波堤灯台でない。なぜなら、いま窓から見える範囲にある防波堤灯台は、乙浜漁港の、海の中の赤い防波堤灯台だけだからである。眼下の海っぺりは今日の午後、この目で見て回ったのだ。

その、手前の光量の強い赤い点滅と、その奥の、やや小さな赤い点滅の間に、鮮やかな緑が点滅している。最近仕入れた知識が役になった。すなわち、防波堤灯台の陸へ向かって右側の赤い灯台は、赤い光を点滅し、左側の白い灯台は緑の光を点滅する。つまり、奥の赤い点滅は、乙浜防波堤灯台に間違いない。とはいえ、緑の点滅は、何なのだ?それらしき灯台は見当たらなかったが。もっとも、左奥には、もう一つ赤い点滅が見える。これも何なのか、よくわからない。

ところで、いま一度、サッシ窓から見える夜景を見直した。右半分は暗い海、三つの赤い点滅と、一つの緑の点滅が見える。正面には、高層のマンションが建っている。階段や部屋の明かりが点々としている。明るい。ま、景観的には邪魔だが。左側は、おそらくは新興の住居地で、民家の光がまばら。その間をぬって生活道路の街灯が点々としている。さびしくもなく、にぎやかでもなく、普通の住居地の穏やかな夜景だ。

要するに、正面、左半分は、さほど興味がないわけだ。重いサッシの窓を開けたのだろうか。少し冷たい海風、波音がはっきり聞こえる。視線を、暗い海に戻した。魅かれたのは、緑の点滅だ。これまで、一度も見たことない光景だった。しかも、その緑の意味を理解していた。むろん、その奥の、というか上の、赤い微かな点滅も気になった。真っ暗な海へ向かって、一晩中、ペアになって、赤と緑の点滅を繰り返すのだ。

静かにサッシ窓を閉めた。遮光カーテンもしっかり閉めたと思う。朝日が眩しいはずだ。横になった。波音が微かに聞こえた。幸いなことに、物音はほとんどしなかった。いや、一度くらい、寝かかったときに、びくっとしたかもしれない。明日の予定を思った。七時ころまで寝ていようかな。七時起床、八時出発。波音が一段と高まった、ような気もする。

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2021

01/03

Sun.

13:39:50

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>南房総編2020#5
移動~安房白浜港灯台撮影1

車に戻った。ナビを野島埼灯台にセットした。復路は<房総フラワーライン>を通らず、館山の市街地を突っ切り、山越えの道を選んだ。ナビの指示だ。野島埼―洲埼―船形と、来るときは、三角形の二辺を走り、戻りは、残りの船形―野島埼の一辺を走ったことになる。当然距離は短くなり、時間もかからなかった。ただし、見通しのない退屈な道だ。朝来た時に一度走っているから、なおさらそう感じたのかもしれない。

山道を下りきったところの信号を右折すると、セブンイレブンが見えた。野島埼灯台の周辺に、コンビニはここしかない。来る前にグーグルマップで下見済みだ。まだ午後の一時台だったようだ。少し気が早いと思ったものの、夕食などの食料を買い込んだ。おにぎり三個、内一個は赤飯握り。あとは菓子パン類二個、500mmパック牛乳。それに唐揚げ。

唐揚げは、レジのおじさん、というか爺さんに、いくつですかと聞かれた。二つ、と答えると、爺さんが揚げ物のケースを見て、おたおたしている。と、そばにいたおばさんが、すかさず、ちょっと待ってくれればすぐに用意します、とこちらに顔を向けた。爺さんも、一瞬、おばさんの方を見た。それから向き直り、商品のレジ打ち?を始めた。その手つきが、頼りない。あきらかに、間違えまいと努力している。入ったばかりのアルバイトだろう。

店内は、日曜日の昼時だからか、意外に混んでいた。レジは三つあり、次から次へと客が並んだ。すぐに、おばさんから、爺さんへと箱入りの唐揚げが手渡された。爺さんは<唐揚げ、五個>と言いながら、目の前のレジ画面を慎重に指で触れた。可もなく不可もなく、会社を定年まで勤め上げたのだろうか。物腰の柔らかい、少し禿げ上がった、白髪頭の爺さんだった。

はやっているコンビニには、さっきのような、テキパキおばさんがいることが多いような気がする。アルバイトの学生や若い女性、それに外国籍の店員などの、不愛想なレジ応対に慣れているので、こういう店に入ると、なにか、得をしたような気がする。おそらく、誰しもが感じていることで、はやっている店には、それなりの理由があるのだ。車を走らせながら、ふと思った。

野島埼灯台の、道沿いの駐車場に着いた。あれま、満車だ。ほかに駐車場はない。となれば、灯台前の一方通行のロータリーに路駐するほかない。なるほど、土産物屋などの店先に、ぐるっと車が止まっている。どれどれ、とゆっくり走っていく。さいわい、ロータリーの出口付近に、一台だけ止めるスペースがあった。

車から出た。雲の多い空模様ではあるが、ちょうど、陽が差してきた。暑かった。遊歩道を歩きながら、見上げるような感じで灯台を撮った。ベストポジションの<朝日と夕日が見えるベンチ>の辺りは、やや混雑している。観光客が多い。じっくり写真を撮るような雰囲気じゃない。早々に引き上げ。午後の二時ちょっと前だったようだ。

さてと、本日最後の撮影場所、安房白浜港港灯台にナビをセットした。海沿いの道を十五分も走れば着くだろう。走り始めるとすぐ、目の前に、赤い小さな防波堤灯台が見えた。何やら、漁港の奥だ。時間もまだ早い。見に行こう。係船岸壁をゆるゆる走る。片側にずらっと車が駐車している。見ると、正面は行き止まり。車列の空いているところに車を止めて、外に出た。

何やら、奥が深い。岸壁が広がっている。釣り場になっているらしく、釣り人がかなりいる。右手の、やや高い堤防に、踏み石を利用して登りあがった。堤防を歩いて、赤い防波堤灯台に近づいた。突端に、釣り人が何人もいる。なんとなく、そばまで行く気になれず、少し手前で止まって、何枚か撮った。赤い防波堤灯台は、海の中の防波堤に立っていた。防波堤は波消しブロックにがっちり守られている。歩いて行くことはできない。だが、全体のロケーションがイマイチで、見えている灯台の形にも、さほど魅力を感じなかった。正式の名前は、乙浜港南防波堤灯台、今調べた。

引き返した。車に乗った。漁港を出て右折。すぐ左手に、今日と明日泊まるホテルが見えた。さあ、ここからが問題で、次に行く安房白浜港灯台の付近には、駐車スペースがない。下調べした段階では、片側一車線のさして広くない、海沿いの道路に路駐するか、あるいは、砂浜沿いの道なき道を行くか、の二つだ。しかも、その道なき道の先が、どのような状態なのか、グーグルマップでは確認できない。

どうしようか、と思っているうちに、マップシュミレーションした光景が広がってきた。やはり、路駐は気が進まない。気になって、じっくり撮影ができない。と、右手に浜へと入る道。あわてて右折。悪路に入る。すぐに突き当り。木立があって海への視界はさえぎられている。灯台は右方向。そろそろ行くと、左手に海が見えた。道が少し広くなっていて、車が三台止まっている。人影はない。釣りに来ているのだろう。そんなことより、スペースがいっぱいで、止められない。

前に進むしかないだろう。いざという時は、バックで戻ってくればいい。ガタガタの水たまりの悪路を行く。タイヤまわりが汚れることが少し気になった。だが、今はそんなことにこだわっている時ではない。と、家が数軒見えた。こんなところになんで?と思いながら、ゆっくり脇を通り過ぎる。人影はない。悪路はさらに細くなる。停止してちょっと考えた。別荘だな。いや、それよりも、この先は無理だろう。道が細すぎる。それに、悪路が極まっている。

道の真ん中に車を止めて、外に出た。お目当ての灯台が、海辺に見えた。見ると、悪路の左側に少し広くなったところがある。車一台分くらいはある。シカとしてここにぶっ止めようか。あたりの様子をうかがった。要するに、どん詰まりの別荘地だったのだ。悪路にT字する形で、右手に道があり、その両側に家が建っている。伸びあがってみると、どうやら、その道も行き止まり。さっき通った海沿いの道路には抜けられない。

別荘の私道が砂浜沿いの悪路にぶつかるところが、少し広くなっている。おそらく、車の切り返しのためだろう、だとすれば、駐車はまずいだろう。と思ったが、辺りに人の気配は全くない。五、六軒ある別荘の雨戸はみな閉ざされている。物騒だな、コロナの影響かな、そんなことはどうでもいい。車を脇に寄せた。一、二回、切り返し、寄せるだけ寄せた。これなら、万が一にも、ほかの車が来ても通れるだろう。撮影中に、クラクションを鳴らされるほど、嫌なことはない。

カメラバックは車に置いていこう。軽い方のカメラを首にかけ、悪路を歩き始めた。凸凹、深い水たまり、その上、車一台通るのがやっと、こんな道はできれば走りたくない。もっとも、以前乗っていたジムニーなら、迷わず突っ込んでいっただろう。ただし、高速を走ってここまで来ることはできない。やっぱ、<軽>じゃ高速は無理だよな。いや、無理ではないが、疲労感がひどい。と、視界が開けた。行き止まりではあるが、少し広くなっている。Uターンできるかもしれない。なあ~んだと思った。

海の方へ向き直った。なるほど、波打ち際の岩場に、その灯台はポツンと立っていた。中ほどやや上が少しくびれた、<とっくり>に形が似ていないこともない。優しいフォルムだ。それにロケーションは最高。ただし、空の様子がよろしくない。ところどころに青空はあるものも、全体的には曇りで、暗い。とくに、灯台の背景は鉛色の曇り空だ。だが、ここまで来た以上、晴れていようが、曇っていようが、撮るしかないのだ。

滑って転ばないように、慎重に岩場に上がった。岩場は、非常に複雑な形をしていた。単に凸凹だけでない。ノコギリの歯を横に並べた感じだ。幾層にも重なる、その歯の上を飛び歩きしながら、灯台に近づいていった。灯台は、陸続きの岩場ではなく、海の中の岩場に立っている。むろん、岩場の最先端まで行った。目の前は海だ。これ以上は近寄れない。灯台の扉が正面に見える。この位置がベストポジションのような気もした。

しかし、わからんだろう?灯台を中心点にして、右へ、左へと、ノコギリの歯の上を移動した。ただし、深追い?はしなかった。というのも、明かりの具合がよろしくない。背景も鉛色の空だ。きれいに撮れているはずがない。まだ、三時過ぎだったが、明日の天気に期待しようと思った。早めにホテルに入って、温泉にでも入ろう。何しろ、今日は、朝の三時から動きまわっているんだ。岩場から上がった。今一度、行き止まりの広さを目で確認した。ま、ここなら、Uターンできそうだ。

水たまりを避けながら、悪路を歩き出した。脇に、オレンジ色のユリのような花が数本、浜風に揺れている。カンゾウだと思う。その場にしゃがみこんで、お花たちを画面に入れた。灯台とお花のマッチングに、いつもながら心が和んだ。

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