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<灯台紀行・旅日誌>&<花撮り物語>

<灯台>と<花>のフォトエッセー

2021

01/27

Wed.

11:34:11

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>2020 南房総編#12 移動~ホテル

悪路では回転できない。直進して、別荘の所まで行って、スペースを利用してUターンした。海沿いの道に出て、ホテルへ向かった。と、道路際に、灯台が立っている。てっぺんで何やら光っている。むろん昨日も見たわけだが、通り過ぎた時間が早かったせいか、光ってはいなかった。形は、いわゆる<標準型防波堤灯台>。だが、頭にレンズがあるわけではない。長い蛍光管のようなものが縦に二本並んでいる。それが光っているのだ。はは~ん、ピンときた。これは<導灯>だ。いや、その時は名称を失念していた。ただ、概念というか、この灯台の役割は理解していた。つまり、上下、二つ光源に向かって航行すれば、狭い港に安全に入港できるというわけだ。<導灯>みちびくあかり、読んで字のごとし。

ということは、下にもう一つ灯台がある筈だ。そうそう、昨日見ている。高い防潮堤のすぐ下に相棒がいた。あり得ないロケーションで、これまで見たことがない。その時は、何かの冗談かと思った。無知ほどおそろしいことはない。冗談どころか、上の灯台と対になって、海の安全を守っているのだ。形は、道路際のものとよく似ている。岸壁に車を止めて、<導灯>を撮った。記念写真だよ。目の前の山の端に夕日が落ちて、辺りがオレンジ色にほんのり染まっていた。

ついでだ!乙浜漁港の赤い防波堤灯台も撮りに行こう。海沿いの道から、漁港へ入った。高い堤防を登ることはせず、広い係船岸壁に入り込んで、坂になっている砂地から堤防に上がった。釣り人が何人かいた。ただ、昨日のように、灯台の真ん前にいたわけじゃない。釣り人の後ろを静かに歩いて堤防の先端まで行った。明かりの具合、背景の空の様子は、まあ~、昨日に比べれば、多少マシだ。その場から動きようがないので、同じような構図で何枚か撮った。ロケーションからして、モノになるとは思えなかった。これも記念写真だよ。主要な撮影は終えていたので、気持ちが軽くなっていたのだろう。

粘ることはせず、さっと引き上げた。すぐにホテルの駐車場についた。車がずいぶん止まっている。メモには、五時半宿、とあった。そうだ、今日の朝、出発するときに、駐車場からホテルを見上げた。自分の泊まっているのは九階。あの辺か、カーテンの閉まっている窓を眺めた。昨晩、あの高さから、夜の海を眺めたわけだ。明かりのもれている窓際に、一瞬、浴衣姿のシルエットが現れ、しばらく静止していた。何を見ていたのだろう。

ホテルに入った。手首で検温を受けて、鍵を受け取った。壁際の棚から、昨日と同じ柄の浴衣を一枚取って、エレベーターに乗った。部屋のドアノブには、白いレジ袋がかけてあった。入ってから、中を確かめた。新しいバスタオルや足ふきマット、歯ブラシなどのアメニティーが入っていた。フェイスタオルがなかったが、流しの小さな布巾があった。なるほど、これも交換すべきだったのか、気づかなかった。流し台に、使い古された、くたくたの布巾を二枚並べた。

温泉にはいかない、と決めていた。狭いうえに人が多すぎる。ユニットバスに入って、今日は頭も洗った。最近は、一日おきにジムの風呂で頭を洗っている。二日あけると、背後で加齢臭がする。指先で頭をごしごし掻いて、においを嗅いだ。犯人は、自分だった。さすがに、これには閉口した。…若いころは、三、四日、頭なんか洗わなくても、においなどしなかった。現実存在=実存を突き付けられたわけだ。不潔な感じの爺ほど、嫌なものはない。

風呂上がりのビールはうまかった。冷蔵庫の温度を<10>にしておいたからな。もっとも、夜になって、モーターの音がうるさいことに気づいて<7>に下げた。スーパーで買った弁当は、安い割には・おかずがたくさん入っていて、満足した。食休みかたがた、撮影画像のモニターをした。接眼ルーペでじっとカメラ背面の小さな液晶画面を覗きこむ。いちいち拡大表示字などはせず、つぎつぎとコマ送りする。ざっと流す感じだ。ま、これは一種の儀式だ。うまく撮れていると思いたいのだ。

立ち上がった。窓辺へ行った。カーテンを全開にして、九階の窓から暗い海を眺めた。速度も明度も違う、赤いランプの点滅が三つ、鮮やかな緑の点滅が一つ、昨日同様、同じ場所で、同じ仕事をしていた。そばに置いてあったカメラを取り上げ、構えた。ファインダーをのぞくと、都合四つの点滅は、まったくと言っていいほど、存在感がない。それに比べ、真正面にそびえる、高層マンションの階段や・部屋の明かりは、まばゆいほどだ。これでは写真にならない。気のないシャッターを一、二回切った。

<8時ねる―10時起-11時ねる>とメモに走り書きしてあった。なるほどね~、十時に起きて十一時まで何をしていたのか、まったく思い出せない。テレビをつけて、カレー味のカップ麺をすすったのか、持参したビスケットやポテチを食べたのか、大方そんなところだろう。ただ、寝入りばななのか、夜間トイレに起きた時なのか、波音が聞こえたような気がする。一瞬、静寂に耳をすませ、また安心して寝たのかもしれない。

三日目
翌朝は五時半に起床、したようだ。朝日を部屋から撮影しようというわけだ。思い描いていたように、朝日が海から出てきた。邪魔にならない程度に、雲がたなびいている。だが、朝日に染まる海景を・きれいに撮ることはできなかった。というか、にわか仕込みの<朝日の撮り方>を、すっかり忘れていたのだ。今回の旅で朝日を撮る予定はない。復習してこなかった。さほど難しくないことですら、新しいことは、なかなか覚えられない。記憶力には自信があったんだけどね。

それでも、結構粘った。こんなにいい条件で朝日を狙えるのは、そうそうあることじゃない。露出やホワイバランスを、ほとんどデタラメではあるが、調整した。そのうち、というか、あっという間に朝日は昇り、もう眩しくて直視できない。写真にその輪郭すら写し撮れない。ま、技術がないからね。限界だ。撮影終了。それが何時だったのか、定かではない。そのあと、朝の支度をしたのだろう。髭剃り、洗面、食事、排便、身支度、部屋の整頓。

食事は、おそらく、菓子パンと牛乳だろう。排便は、たしか、旅中にも関わらず、多少出たと思う。部屋の整頓に関しては、布団はたたまなかった。移動した座卓などもそのまま。そうそう、部屋を出る前に、写真を撮った。一応、二泊三日とはいえ、居住した空間を・もれなく画像におさめた。これは、初回の犬吠埼旅からのお決まりになっていた。時間がたって、自分が泊まった部屋の写真を見ると、なんだか、心にしみてくるものがあったのだ。

浴衣とかシーツとかバスタオルとか、その他交換するものは、和室の前のたたきに、まとめて置いた。ゴミは、その横に並べた。カメラバックを背負い、トートバックを肩にかけた。振り向いて、忘れ物がないか、部屋の中を目で確かめた。よし!エレベーターで下に下りた。そういえば、ホテル内では、温泉は別として、まったく人に出会わなかった。駐車場には車がたくさんあったんだけどね。

チェックカウンターには先客がいた。婆さん三人連れ。一人の婆さんが、宅配の手配をしているようだ。少し距離をおいて待った。その間、さして広くもないロビーを見回した。土産物コーナーがあり、これは品揃えが充実していた。窓際には大きなソファの応接セットが置いてあった。いや、マッサージチェアだったかもしれない。婆さんが立ち去った。受付で名前を言って、精算した。二泊で¥8800、<Gotoトラベル>の恩恵を受けるのは、これで二回目だ。一万円札を渡して、おつりと領収書をもらった。<お世話さま>と小さな声で、受け付けの初老の女性に言ったような気もする。ビジネスライクの<ありがとうございました>が聞こえた。

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