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<灯台紀行・旅日誌>&<花撮り物語>&<第二次入間川写真紀行>

<灯台><花><入間川>などのフォトエッセー

2020

07/21

Tue.

11:03:03

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行・旅日誌

<灯台紀行・旅日誌>#14
さあ、午後の撮影の開始だ。一番暑い時間帯は、昨日撮った。今日は、そのあと、二時半から日没前の五時半までにしよう。三時間の撮影が関の山だ。それ以上は冗長、散漫になってしまう。都合のいい理由をでっち上げた。

ほぼ予定通り、午前と同じ場所に、同じように二本の三脚を立て、五分間インターバル撮影を始めた。太陽は西に傾き始め、暑いというほどでもなく、アウトドアが快適だった。カメラと灯台の間にある波打ち際は、大賑わいだった。次から次へと、登場人物が入れ替わった。

小さな子供連れの家族が多かった。それにカップル。ときには高校生の男子だけの集団、小学六年生くらいの仲良し少女たちもいた。真っ白な灯台が、徐々に西日に照らされ、染まっていくことを期待したが、そういう現象は起こらず、海を撮っている望遠の方も、快晴ゆえに、空にはまったく動きがない。

いきおい、写真撮影よりも、波打ち際で遊んでいる人間を見ていることが多くなった。記憶に残っているものだけでも、記しておこう。小さな女の子、赤いボールが波にさらわれた。思い切って自分で捕りに行こうとして、波の中に沈んだ。すぐさま、メタボ体形の父親が、意外にも俊敏な行動で海の中に走りこみ、幼い娘を救い上げた。

小型犬を散歩している女性。寄せ波に、そのワンコは逃げようともせず、そのまま波につかる。そして、引き波の中、しゃがみこんで気持ちよさそうだ。それを幾度となく繰り返す。飼い主の女性が笑っている。大きなストローハットをかぶった若い女性、二人連れ。ひとりは、ヒールを手に持ち素足で波打ち際を歩いている。そのほか、あとからあとから、小さな男の子や女の子が走って登場、波打ち際で歓声を上げている。孫を見守るじいちゃんたち。

一番絵にならないのは、若い男二人連れ、それに男の若者一人。波打ち際は、やはり女子供がよく似合う。・・・そう言えば、地元の老サーファーが、波間に浮いていたな。一、二回、波に乗ったが、すぐに見えなくなり、また波間に浮いている。良い波を探しているようにも見えるが、なにせ、サーフィンをするような波じゃない。この、やや長髪の爺は、昨日、遊歩道を散歩していた。さばけた爺さんがいるなと記憶に残っていた。サーファーだったのね。

・・・陽もだいぶ傾いてきた。陣取っている柵の下、波打ち際に、先ほどの女の子仲良しグループが、インスタにでもあげるのか、スマホで自分たち写真を撮っている。距離的にも近く、要するにすぐ目の前なので、いやでも目に入ってくる。確か四人いたと思う。体つきからして、小6か中1くらいか。海を背にして、三人が並んでポーズを取り、ひとりが撮る。これを交互に繰り返している。写真が撮れたら、ワッと走り寄って、みなでスマホを囲む。実に楽しそうだ。

そのうちは、白っぽい風船を膨らませて、それぞれが手に持つ。シャッターチャンスの、念入りな打ち合わせをして、全員で指を立ててカウントする。と、ひとりの風船が割れて、中から何やら、小さな金色の星のような物が、ぱっと飛び散る。なるほど、面白い演出だ。これを交互に繰り返す。時間なんか関係ない。今の彼女たちに時間は存在しない。見ているだけで、こっちまで楽しくなった。

が、それが、妙な具合になってきた。女の子のうちの、誰かのお姉ちゃんなのか、茶系チェックのスカートに白ワイシャツ、痩せ気味の女子高生がどこからとも現れた。女の子たちを並ばせ、スマホで写真を撮ろうとしていのだが、ポーズの注文など、こまかく指図している。そのあと、スマホを覗いて何やらやっているのだが、その時間が、いやというほど長い。その間、女の子たちはおしゃべりするでもなく、シーンと、神妙に待っている。先ほどの快活な雰囲気がなくなり、白けた感じだ。

女子高生の方は、そんなことにお構いなし。ようやく、スマホから顔を上げ、またあれこれ長い指図をして、スマホを覗きこむ。その繰り返しだ。このあとどうなるのか、すこし気になったが、これといった動きもない。次第に飽きてしまった。こんな状態がかなり続いたのだと思う。あたりがだいぶ暗くなってきた。

今日は、灯台に灯がともる前に引き上げようと思っていた。灯台からの光線が撮れない以上、夜の灯台と対峙する意味はない。ふと下を見ると、女の子四人が、うす暗くなってきた海に背を向けて、まだ座っている。が、ひとりの子が、最後の風船を、合図とともに割ろうとしている。また、快活な声が浜に響いた。女子高生と一緒に指を折りながら、ついに風船が割れた。金色の星屑が、彼女たちの頭に降りかかった。この瞬間を撮りたかったわけだ。それにしても、写真一枚撮るのに、何十分かかってるんだ。ま、余計なお世話だな。

女の子たちは、ワッと女子高生のもとに走り寄り、スマホを覗きこんで、歓声を上げる。うまく撮れたのだろう。やっと解放されたと思ったのは自分だけだろうか、みなして風のように砂浜を走り、灯台の方へ消えて行った。そうそう、立ち去る前に、飛び散った金色の星屑を拾っていた。浜を汚さないように躾をされている。やはり、地元の子たちだ。ちなみに、この<君が浜>は<日本渚・百選>に選ばれているようだ。

人生の、一番楽しくて、美しい、高貴な時間を、今この瞬間、自分たちが生きているなどとは、おそらく思わなかったにちがいない。だが、少女たちよ、いずれそのことがわかる時が来る。それが年を取るということだ。

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