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<灯台紀行・旅日誌>&<花撮り物語>

<灯台>と<花>のフォトエッセー

2020

09/30

Wed.

11:17:46

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 三浦半島編

<灯台紀行・旅日誌>三浦半島編2020#9 観音崎へ向かう
二日目
五時半過ぎに目が覚めた。昨晩はほぼ一時間おきに、トイレに起きた。寝足りないな、などと思いながら、ベッドの中でぐずぐずしていた。六時過ぎたころからは、これは明らかに隣だな、ドアを開ける物音などがした。昨晩、夜遅くまでうるさかった部屋の方からも音がする。これは向かいだな。何しろ、ビジネスホテルでは、みな早起きだ。六時過ぎたら、うるさくて眠っていられない。

というわけで、こっちも、六時半には起きた。サービスの軽朝食は七時からなので、それまでに身支度を整えた。髭剃り、歯磨き、洗面、着替えだ。七時過ぎにエレベーターで下に下りた。チェックインカンターの人影にちょっと目礼して、辺りを見回した。簡易的な、安っぽいテーブルと椅子が、何脚か置いてある。誰も座っていない。が、フロアには、四、五人の人影。それぞれ、微妙な距離を取っている。

まず、冷蔵棚から、ヨーグルトとパック牛乳を一つずつ、次に、壁際の長い台に、二、三籠ある<菓子パン>から、三つ選んで取った。あとは、オレンジジュースと野菜ジュースを機械から抽出した。あらかじめ、ポケットに忍ばせて置いた、白いレジ袋を取りだし、菓子パンなどを入れた。一言、部屋で食べてもいいですか、と受付の女性に断った。むろん、悪いはずはない。コロナ禍、この時期に、他人と一緒の場所で飲食はしたくなかった。手にレジ袋と、大きな紙コップを二つ持って、部屋に戻った。

さ、貧しい朝食だ。オレンジジュースと野菜ジュースは、ま、こんなもんだろう。別に不満はない。だが<菓子パン>の方は、クロワッサンのような、なかに何も入っていないものはまだしも、あんパンとカツパンは、これはもうNGだった。思わず、消費期限を確かめた。三つとも多少のずれはあったが、ほぼ一か月近くある。ありえない!アンパンの半分、それにカツパンは、即刻ごみ箱行きになった。それにしても、とホテルの良識を疑った。だが、それほど腹は立たなかった。食べなければいいのだ。

ほとんど便意はないが、出発前に排便を試みた。ほんの少し出た。一応は温水便座で、これはリニューアルしてあったので、気分はいい。七時半、室内を少しきれいにした。つまり、ベッドとかテーブルの上を整頓した。部屋を出て、カードキーでロックし、カードは財布の中にしまった。

再度エレベーターで下に下り、受付に一言、出てきますと告げた。コーヒーメーカーに寄り、アイスコーヒーを作って、車に持っていこうとした。ところが、なんというか、失敗だ。というか、やり方がわからなった。普通なら、機械のボタンを押せば、氷が出てきて、その上に温かいコーヒーがふり注ぐ、という形だが、氷が出てこない。しかたなく、黒い液体が半分くらい入っている紙コップを手に持って、受付の女性に、氷が出ないんですけど、と遠慮がちに言った。

その係の女性は、大柄な、目鼻立ちのはっきりした、ま、美人だった。カウンターからすぐに出てきて、自分が手にしていた紙コップを受け取り、やり方を教えてくれた。要するに、氷だけが出る機械があり、そこでまず、大きめの紙コップに、手動で、お好みに合わせて、四角い氷を何個か入れ、その氷の入った紙コップを、コーヒーメーカーに置く、ということだ。コンビニのアイスコーヒーを常飲している者にとっては、なんとも、間の抜けた話だ。

再度、アイスコーヒーを作り直し、受付の横から、外へ出た。昨日は正面玄関から入った。駐車場へ行くには、こっちの方が近い。要するに裏口だ。少し雲が出ているものの、いい天気だ。車の中に入って、観音埼灯台、とナビに打ち込んだ。…アイスコーヒーを飲んだ。さしてうまくもなかった。だが、朝のコーヒーは日課だ。飲まないと、何か忘れ物をしたようで、落ち着かない。

車を出した。長い坂を下って、トンネルをくぐった。左折。広い道路を走った。朝の通勤時間帯だ。だが、さほど混んでいない。また長い坂を下った。周りは丘で、緑の斜面に小さく家が点在している。いわゆる、横浜・横須賀方面の風景で、埼玉のような平場に住んでいる者にとっては、少し新鮮だ。

道が、市街地に入ってきた。やや混んでいる。と、大きな交差点。左折待ちしていると、目よりちょっと高い所に、長い歩道橋。その上を、女子高生、いや男子もいるな、ぞろぞろ歩いている。目線を下におとすと、道の向こうの方からも、ぞろぞろ。通学時間帯なのだろう。皆、同じような格好をして、同じ時間に、行儀よく歩いている。むろん強制されている様子もない。ふと、自分の高校生時代を思い出した。最寄りの駅から、やはり、ぞろぞろと、黒い学生服が、歩いている。朝っぱらから学校なんか行きたかねえや、とは思わずに、素直に、行儀良く、学校へ通っていた。いま思えば、かわいいもんだ!

人間は、こうして教育され、大人になっていく。大人になって、そうした目に見えぬ強制力に気づく奴もいる。が、ほとんどが、気づいたとしても、それを否定もせず肯定もせず、生き続ける。長いものには巻かれ、か!自分もその一人だろう。だが、齢七順にもなると、この世とのおさらばが近い。いずれ、この世が霧散してしまうのならば、いったいこの世とは何なのだろうと思う。今はやりの<仮想現実>ととらえることもできそうだ。ならば、この世の規則に従って、営々と生きてきたことが、なんだかばからしい。

話しが暗くなった。戻そう。さらに、横須賀の市街地を進む。と、信号ごとに止まるようになった。多少混んできたのだ。ふと、歩道を歩いている女子高生に目がいった。黒い大きなリックを、お尻のあたりにまで垂らしている。地味なチェックのスカートにワイシャツ、黒のローファー。だが、その足首のあたりが、鮮やかな緑だったり、ピンクだったりして、目を引く。カラフルなソックスを少し出しているのだ。なるほど、あれが大人への、規則へのささやかな抵抗、というわけか。もっとも、あの程度の抵抗など歯牙にもかけない、もっともっと巨大な規則が、自分たちを覆っていることには、まだ気づいていないのだろう。いや、気づかないままでいることの方が、幸せかもしれない。

少しマジなことを考えているうちに、観音埼が近くなってきた。ナビの右折の案内に従った。ところが、一つ手前の信号の、右折ラインに入ってしまった。ありゃ~、バックミラーで後続車がいないことを確認、ゆるりと黄色の線をまたいで、直進ラインに入った。おまわりに見られたら、違反切符を切られる。幸い、セーフだった。

ナビ通り、突き当りの信号を右折して、海岸沿いの広い道に入った。しかし、護岸が高く、左側の海は見えない。右手、中央分離帯の向こうには、高級住宅街が見える。道路側の家の二階からなら、きっと海が見えるだろう。いいな、と思った。とはいえ、住宅街は、奥が深い。ずうっと続いている。道路際の家はほんの一握りだ。値段が高いだろうし、それに、自動車の音がうるさいかもしれない。貧乏人の僻みだ。いいなと思ったことを取り消した。

前方、海に突き出た、深い緑色の観音埼岬が見えてきた。灯台は間近だ。と、道が片側二車線から一車線になる。その手前に安全地帯がある。ちょうど車一台分くらいのスペース。急遽、ハザードをだして停車した。気になっていた、左側の海を見たかったのだ。脇の階段から、護岸に上がった。なんとなく、雑然とした海。…今ネット検索した。雑然とした海の理由、要するに、その海は東京湾だった。なるほど、灯台旅に出ると、太平洋を見ることが多い。そのせいだ。太平洋に比べれば、東京湾など、ゴミのようなものだ。二階から海が見える住宅を、ちらっと見た。東京湾じゃしょうがないよな!

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