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<灯台紀行・旅日誌>&<花撮り物語>

<灯台>と<花>のフォトエッセー

2020

12/26

Sat.

10:59:41

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>南房総編 2020#3 野島埼灯台撮影1

千葉県南房総市白浜、野島埼灯台の撮影ポイントは、おそらく二か所しかない。グーグルの画像検索を見る限りでは、ま、その二か所も、絶景とは言いかねる。ただし、景観であることに間違いはない。もっとも、灯台が見える地点をすべて見て回るのが、自分なりの撮影流儀だ。いまだ余人が、見落としているポイントがあるかもしれない。しかしこれは、あくまでも可能性の問題であって、実際のところ、画像検索でヒットした場所以外には、これといった撮影ポイントが見つかったためしはない。

撮影の原則は、被写体の周りを可能な限り360度回りながら撮ることだ。もっとも、灯台の場合は、立地的に、海に面していることが多いので、海上から撮ることは、最初から考慮していない。また、断崖に立っていることが多く、敷地も狭い。したがって、ヒキが浅くなり、左右からの撮影も難しい。となれば、正面しかない。しかしこれとて、敷地が広くて、灯台との距離がある程度取れればの話である。あとは、灯台の立っている岬の両側に、浜辺や山などがある場合、遠目ながらも、この横から見た位置取りが有効な場合もある。要するに、灯台は、きれいに撮れる場所が非常に限られているわけだ。

ちなみに、最近はやりの<ドローン>での撮影なら、これらの制約を越えて、これまで人間が見たことのない灯台の景色が見られるはずだ。だが、ドローンを操作して、空中から灯台を撮影するという技術は、生きているあいだに習得できそうもない。いや、その気もない。今のところ、ドローン撮影は、写真とは別物と考えて、その長所短所に関しても口を慎もう。

話を戻そう。撮影ポイントは二か所しかないと書いた。一つ目は正面から、二つ目は西側の浜辺、というか浜辺沿いの道からだろう。そこから撮影したであろう画像の何枚かは、頭に入っている。ただし、運良く、その場所を見つけられたとしても、空の様子、明かりの具合が問題になる。チョロっと行って、ベストの写真が撮れるほど風景写真は甘くない。

撮りながら、歩き始めた。はじめの一枚目は、七時三十九分だった。日が昇り始めていて、逆光だ。写真というよりはスナップだな。駐車場の下は、船溜まりのような感じになっていた。釣りをしている人がたくさんいる。小型の遊覧船も止まっている。灯台への入り口はすぐに見つかった。神社の参道と並行している薄暗い道だ。少し登り坂。目の先に、樹木などに両脇を挟まれた、白い灯台が見えた。

ゆっくり登っていくと、左手から人の声。植え込みの間から、神社の社が見える。何やら、おしゃべりしながら境内を掃除している年寄りたちだ。いま思えば、日曜日の朝だった。神社の清掃の日なのだろう。灯台の正面に出た。見上げるほど巨大。だが、近すぎる。フォルムの全体像が見えない。案内板を見た。三浦半島の観音埼灯台とペアの灯台で、東京湾の入り口を房総半島側から照らしている。設計者も同じでフランス人の<ヴェルニー>だった。

なるほど、どおりで形が似ている。どちらも、八角形の背の高い立派な灯台で、灯台50選にも選ばれている。ちなみに、観音埼灯台が、わが国最初の洋式灯台で、野島埼灯台は二番目らしい。もっとも、両方とも、初代は関東大震災で倒壊している。いまある灯台は、震災後に再建されたらしい。ま、それにしても、およそ百年近くたっているわけだ。

<ヴェルニー>の設計した、初代の灯台は、白い煉瓦製の八角形だったらしい。したがって、いま現在の灯台は、そのフォルムを継承したのだろう。だが、二代目の設計者の名前が、容易にネット検索できない。よく調べれば、出てくるだろう。なにせ、百年たっても健在、なおかつ、美しい灯台の設計者なのだ。たぶん、名のある人なのだろう。こちらが知らないだけだ。

時計を見た。まだ八時前だった。休日は八時半から、平日は九時から灯台に登れる、と案内板にある。まだ早い。後でもう一度寄ろうか、どうしようか、ちょっと迷った。というのも、一つは体力的なことだ。つまり、灯台内部の急な螺旋階段を登るのが億劫に感じた。二つ目は、たとえ上に上がったところで、確かに眺めはいいのだろうが、それだけだ。これまでの経験で多少利口になっている。灯台の写真を撮ることが目的で、灯台見物は二の次だろう。

灯台に背を向けた。坂を下りて行くと、左側に階段があった。なるほど、いま来た道を戻る必要はない。ここを下れば、灯台前の広場に出られるわけだ。ちなみに、野島埼灯台は、海っぺりの断崖に立っているのではない。断崖の上ではあるが、その下は海ではなく、おそらく岩場をうまく利用したのだろう、遊歩道や彫刻作品などが設置された、芝生のきれいな公園になっている。つまり、海を背にして、かなりの距離を取って灯台を見ることができる。珍しいロケーションだ。

灯台の背後には海がある、という概念がかるく裏切られた。背後には山が見える。しかし、どうも、灯台と山の取り合わせが、ピンとこない。アンマッチな気がする。お互い背の高い者同士だからね。とはいえ、灯台の背後には海が広がっている、という勝手な思い込み、幻想によって、目が曇っているのかもしれない。山並みに突き出ている白い灯台も、美しいではないか。

ところで、日曜日の朝、ということを忘れていた。ぼちぼち人が出てきた。観光客だ。面倒なので、どのような人たちなのか、いちいち見なかった。若い人もいれば年寄りもいた、とだけ言っておこう。それよりも、こちらの関心は、撮影ポイントに関することだ。灯台の前が広々とした公園なので、ベストポイントを探し出すためには、辺り一面くまなく歩き回らなければならない。より正確に言うと、灯台を中心点にした、大きさの違ういくつかの同心円の円周上を渡り歩きながら、一番絵面のいい地点を探すのだ。その一点がベストポイント、というわけだ。

ま、この作業は、嫌いではない。むしろ、写真撮影の中では、楽しい部類に入る。何しろ、自分の感覚と感性だけで、任意の一点を探し出すのだから、いわば<宝探し>に似ていないこともない。もっとも、多少の経験があるので、雲をつかむような話でもない。今回も、さほど苦労はせずに、ベストではなく、ベターな場所を見つけた。つまり、灯台が垂直に見え、なおかつ天地も水平になっている場所だ。

問題は、灯台の周りにある構造物とか、手前の芝生広場にある、彫刻とか記念碑とかベンチなどだ。要するに、目障りなわけだ。それらのものが、なるべく目立たないようにするには、カメラの画角を狭めるという手がある。ただし、狭め過ぎてもよくない。灯台だけをクローズアップしても面白くないのだ。心づもりしているのは、<灯台の見える風景>あるいは<灯台のある風景>というコンセプトではない。灯台が風景の中で屹立している感じが好きなのだ。灯台を際立てたいのだ。

極端なことを言えば、灯台周りには、海と空だけでいい。ところがそうはいかない。周りにいろいろなものがある。だから、こちらにできることは、なるべくそれらの物体を目立たなくすることだけだ。ま、ある意味、それが写真の面白さでもある。とにかく、ベターな地点は見つけたので、今度は、その範囲内で、ベストな地点を見つけようとした。

その場で<回れ右>をして、灯台に背を向けた。後退していく方向を確かめた。遊歩道を踏み越えると、一段と高い岩場がある。そのてっぺんに、白い塗装の剥げたひじ掛けベンチがひとつ、海に向かっている。房総半島最南端<朝日と夕日が見えるベンチ>だそうで、灯台より人気がある。なんと、観光客が数珠なりだ。

なるほど、あの小高い岩場のベンチが、ベストポイントなんだな。いま一度<回れ右>をして、灯台を見た。そのまま、少しずつ後退しながら撮った。芝生広場の縁を回っている遊歩道に到着。うしろでは、ベンチに座ろうとしている観光客が、岩場の上に斜めに立って、並んでいる。写真は無理だな。あきらめて、目の前の黒光りしているモニュメントなどを、ちらっと眺めて、海沿いの遊歩道を歩き始めた。

ベターな地点からは、はずれてしまった。だが一応、灯台が見える地点でのスナップは続けた。しかし、だんだん灯台から離れ行く。断崖の木立で灯台そのものが見えない。遊歩道がどこまで続くのか、少し気になったものの、引き返した。と、脇に入る道がある。五、六歩踏みこむと、何やら建物がある。看板に<白浜海洋美術館>とあった。伸びあがって、奥の方を見る。普通の民家のような感じ、しかもシーンとしている。

そっちには行かないで、さらに踏み込んでいくと、芝生の何もない広場に出た。人の気配がしない。日当たりのいい、お屋敷の庭のような雰囲気だ。私有地に迷い込んでしまったかのような、バツの悪さを感じた。早々にいま来た遊歩道に戻った。

たしか、遊歩道の柵沿いで休憩したような気がする。給水、着替えだ。日向だが、さほど暑くもなく、日射も厳しくなかった。そうだ、照ったり陰ったりの天気だった。おりしも、雲間から太陽が出てきた。柵に尻を押し付けながら、目の前の真っ白な灯台を撮った。空はきれいに撮れたものの、遠近感がなく、満足できる写真ではなかった。

カメラバックを背負った。ぶらぶら歩いていま来た道を戻った。岩場のベンチ付近には、さらに人影が増えた。また曇ってきた。それでも、灯台の垂直が感じられる間は、歩きながら写真を撮ったような気がする。

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