此岸からの風景
<日本灯台紀行 旅日誌>オヤジの灯台巡り一人旅 長~い呟きです
2021
01/06
Wed.
12:43:00
<灯台紀行・旅日誌>2020
Category【灯台紀行 南房総編】
<灯台紀行・旅日誌>南房総編2020#6 ホテル
車に戻った。何回か切り返して、Uターンした。海沿いの悪路を戻った。依然として、車が道沿いに三台止まっている。人影はない。雲が厚く、うす暗い。だが、時間はまだ三時過ぎだった。
宿にはすぐ着いた。十階建ての白いホテルで、外観はまずまず。駐車場も空いていた。トートバックに、着替え、食料、水、洗面用具などを入れた。カメラバックを背負い、重いトードバックを肩にかけた。入り口で、手の消毒を促され、手首で検温を受けた。初老の男性だ。受付カウンターでは、これまた初老の女性から、丁寧な説明を受けた。そのあと、コロナ関連の書面に署名した。その際、身分証の提示を求められた。何の疑問も持たないで、免許証を財布から出して渡した。料金は、と聞くと、チェックアウトの時だという。あれっと思った。というのも、これまで泊まったホテルは、すべて前金だった。いま思えば、身分証の提示を求められたのも、今回が初めてだった。なるほどね、無銭宿泊はできないのだ。
お掃除はどうしますか、と聞かれたので、しなくていいと答えた。ありがとうございます、と受付の女性が小声で言った。そして、タオルや浴衣などは、廊下に出しておいてください、と付け加えた。さらに、浴衣はそこの棚にありますから、好きなものを持って行って下さい。ふ~ん、促す方向を見た。大きな棚だ。受付を終えて、壁際の棚の前へ行った。柄やサイズの違った浴衣が、整然と収納されている。Lサイズの青っぽい柄の浴衣を選んだ。帯は部屋にあるそうだ。
そうそう、鍵は、細長いプラについた奴だった。エレベーターに乗った。張り紙がしてあった。ひとグループずつで乗りましょう、だったかな、内容的には間違いないと思う。少し感心した。たしかに狭いエレベーターで、赤の他人との同乗は、よろしくない。<三蜜>を避ける、ホテル側の対策だ。九階で降りた。さほど広くもないフロアーなのに、部屋の場所がわからず、少しうろうろした。ま、いい。
部屋に入った。和室だ。ホテルというよりは安旅館の雰囲気だ。調度品なども古い。だが、埃だらけということもなく、そこそこに、掃除はしてあった。臭いもない。値段相応だ。とはいえ、いわゆる<オーシャンビュー>で、窓からの眺めは良かった。しかも、ちょっと前に撮った。乙浜漁港の赤い防波堤灯台が、豆粒大に見える。いまは曇り空だが、天気予報では、四時過ぎから夕方にかけて晴れマークがついている。方向的にも、ちょうど真正面に日が沈む感じだ。部屋の中から、ラクして夕陽が撮れるかもしれない。少し楽しい気分になった。
狭いユニットバスの洗面台で、手の甲と顔を、備え付けのボディーソープで念入りに洗った。日焼け止めがなかなか落ちないような気がしたのだ。そのあと、衣服を脱ぎ、一応、クローゼット?にあった木のハンガーにかけ、鴨居につるした。いや、その前に押し入れから、敷布団と掛布団と枕を出したのかもしれない。座卓を少し移動して、敷布団には洗い立ての敷布をかけ、テレビの前で寝られるようにした。服を脱いだのも、顔を洗う前だったかもしれない。いまとなっては、もう思いだすことができない。
ま、とにかく、浴衣に着替えて、念のため、備え付けの金庫に、財布などの入っているポーチを入れて鍵をかけた。金庫の鍵は、部屋の鍵と一緒に細長いプラ棒についていた。エレベーターに乗り<B>のボタンを押した。地下一階が温泉なのだ。ところが、ささやかな期待は、すぐに裏切られた。脱衣所が狭い。人がいっぱい居た。のみならず、湯船も洗い場も狭い。そこにも人がいっぱい居た。
少し距離を取りながら、湯船につかっていると、同僚なのか仲間なのか、至近距離で日焼けした男たちが話をしている。長居しないで、さっと出た。ところが、不幸は重なるもので、浴衣を入れたロッカーの鍵が開かなくなる。あたふたしていると、あとから来た男に、早くどけといわんばかりの、無言の圧力をかけられた。少し脇によって、男と小さな娘をやり過ごし、また、調子の悪い、小さなロッカーのカギをいじくった。さいわい、なぜか、鍵はあいた。一瞬、脱衣場に電話などないし、素っ裸なのに、どうしようかと途方にくれた。ま、よかった!
早々に部屋に戻った。おそらく、テレビをつけ、脇に寄せた座卓の上で、ノンアルビールを飲み、おにぎりと唐揚げを食べたのだ。唐揚げはまだ、少し暖かくてうまかった。そうそう、この宿の冷蔵庫は、型は古いが効き目はよかった。というか、部屋に入った際に、冷蔵庫の温度を<10>にしておいたのだ。ビールは保冷剤入りのバックに入れて来たから、それだけでも冷えていたのに、さらに冷蔵庫で冷やされ、おかげで、自宅で飲むような冷たさになっていた。うまかったと思う。
メモによると、もっとも今回は<メモ>ですらない走り書きだが、午後四時にホテルに到着したことになっている。だが、窓から望遠で撮った写真の時刻が、17時になっていた。到着して、受付、部屋に入って着替え洗顔、カスタマイズ?温泉、食事。ま~、これだけのことを一時間でやってのけたとは到底思えない。そうだ、食事の途中で、漁港が夕陽に染め上げられたので、写真を撮ったのかもしれない。とはいえ、手持ち望遠で、ピントが危うい。一枚だけ撮ってすぐにあきらめ、また食事を続けた。これなら話が合う。いや、おそらくそうだったのだろう。その際、横着して三脚をもって部屋に入らなかったことを、少し後悔したのを覚えている。
その後、食事を終え、撮影画像のモニターをした、と思う。だが、そのうち、六時ころ、少し寝てしまった。さすがに、朝の三時から動き回っていたのだから、疲れたのだろう。とはいえ、八時ころに起きて、持参したお菓子などを食べたような気がする。もっともまたすぐ、寝てしまった。
夜中に、何回か、トイレに起きたはずだ。その際、窓の外の夜景を見た。右半分は海で真っ暗。ただし、赤いランプが三つ点滅している。うち一つは、間隔が短く、しかも光量が強い。すぐ近くの防波堤に設置されているのだろう。ただし、防波堤灯台でない。なぜなら、いま窓から見える範囲にある防波堤灯台は、乙浜漁港の、海の中の赤い防波堤灯台だけだからである。眼下の海っぺりは今日の午後、この目で見て回ったのだ。
その、手前の光量の強い赤い点滅と、その奥の、やや小さな赤い点滅の間に、鮮やかな緑が点滅している。最近仕入れた知識が役になった。すなわち、防波堤灯台の陸へ向かって右側の赤い灯台は、赤い光を点滅し、左側の白い灯台は緑の光を点滅する。つまり、奥の赤い点滅は、乙浜防波堤灯台に間違いない。とはいえ、緑の点滅は、何なのだ?それらしき灯台は見当たらなかったが。もっとも、左奥には、もう一つ赤い点滅が見える。これも何なのか、よくわからない。
ところで、いま一度、サッシ窓から見える夜景を見直した。右半分は暗い海、三つの赤い点滅と、一つの緑の点滅が見える。正面には、高層のマンションが建っている。階段や部屋の明かりが点々としている。明るい。ま、景観的には邪魔だが。左側は、おそらくは新興の住居地で、民家の光がまばら。その間をぬって生活道路の街灯が点々としている。さびしくもなく、にぎやかでもなく、普通の住居地の穏やかな夜景だ。
要するに、正面、左半分は、さほど興味がないわけだ。重いサッシの窓を開けたのだろうか。少し冷たい海風、波音がはっきり聞こえる。視線を、暗い海に戻した。魅かれたのは、緑の点滅だ。これまで、一度も見たことない光景だった。しかも、その緑の意味を理解していた。むろん、その奥の、というか上の、赤い微かな点滅も気になった。真っ暗な海へ向かって、一晩中、ペアになって、赤と緑の点滅を繰り返すのだ。
静かにサッシ窓を閉めた。遮光カーテンもしっかり閉めたと思う。朝日が眩しいはずだ。横になった。波音が微かに聞こえた。幸いなことに、物音はほとんどしなかった。いや、一度くらい、寝かかったときに、びくっとしたかもしれない。明日の予定を思った。七時ころまで寝ていようかな。七時起床、八時出発。波音が一段と高まった、ような気もする。




車に戻った。何回か切り返して、Uターンした。海沿いの悪路を戻った。依然として、車が道沿いに三台止まっている。人影はない。雲が厚く、うす暗い。だが、時間はまだ三時過ぎだった。
宿にはすぐ着いた。十階建ての白いホテルで、外観はまずまず。駐車場も空いていた。トートバックに、着替え、食料、水、洗面用具などを入れた。カメラバックを背負い、重いトードバックを肩にかけた。入り口で、手の消毒を促され、手首で検温を受けた。初老の男性だ。受付カウンターでは、これまた初老の女性から、丁寧な説明を受けた。そのあと、コロナ関連の書面に署名した。その際、身分証の提示を求められた。何の疑問も持たないで、免許証を財布から出して渡した。料金は、と聞くと、チェックアウトの時だという。あれっと思った。というのも、これまで泊まったホテルは、すべて前金だった。いま思えば、身分証の提示を求められたのも、今回が初めてだった。なるほどね、無銭宿泊はできないのだ。
お掃除はどうしますか、と聞かれたので、しなくていいと答えた。ありがとうございます、と受付の女性が小声で言った。そして、タオルや浴衣などは、廊下に出しておいてください、と付け加えた。さらに、浴衣はそこの棚にありますから、好きなものを持って行って下さい。ふ~ん、促す方向を見た。大きな棚だ。受付を終えて、壁際の棚の前へ行った。柄やサイズの違った浴衣が、整然と収納されている。Lサイズの青っぽい柄の浴衣を選んだ。帯は部屋にあるそうだ。
そうそう、鍵は、細長いプラについた奴だった。エレベーターに乗った。張り紙がしてあった。ひとグループずつで乗りましょう、だったかな、内容的には間違いないと思う。少し感心した。たしかに狭いエレベーターで、赤の他人との同乗は、よろしくない。<三蜜>を避ける、ホテル側の対策だ。九階で降りた。さほど広くもないフロアーなのに、部屋の場所がわからず、少しうろうろした。ま、いい。
部屋に入った。和室だ。ホテルというよりは安旅館の雰囲気だ。調度品なども古い。だが、埃だらけということもなく、そこそこに、掃除はしてあった。臭いもない。値段相応だ。とはいえ、いわゆる<オーシャンビュー>で、窓からの眺めは良かった。しかも、ちょっと前に撮った。乙浜漁港の赤い防波堤灯台が、豆粒大に見える。いまは曇り空だが、天気予報では、四時過ぎから夕方にかけて晴れマークがついている。方向的にも、ちょうど真正面に日が沈む感じだ。部屋の中から、ラクして夕陽が撮れるかもしれない。少し楽しい気分になった。
狭いユニットバスの洗面台で、手の甲と顔を、備え付けのボディーソープで念入りに洗った。日焼け止めがなかなか落ちないような気がしたのだ。そのあと、衣服を脱ぎ、一応、クローゼット?にあった木のハンガーにかけ、鴨居につるした。いや、その前に押し入れから、敷布団と掛布団と枕を出したのかもしれない。座卓を少し移動して、敷布団には洗い立ての敷布をかけ、テレビの前で寝られるようにした。服を脱いだのも、顔を洗う前だったかもしれない。いまとなっては、もう思いだすことができない。
ま、とにかく、浴衣に着替えて、念のため、備え付けの金庫に、財布などの入っているポーチを入れて鍵をかけた。金庫の鍵は、部屋の鍵と一緒に細長いプラ棒についていた。エレベーターに乗り<B>のボタンを押した。地下一階が温泉なのだ。ところが、ささやかな期待は、すぐに裏切られた。脱衣所が狭い。人がいっぱい居た。のみならず、湯船も洗い場も狭い。そこにも人がいっぱい居た。
少し距離を取りながら、湯船につかっていると、同僚なのか仲間なのか、至近距離で日焼けした男たちが話をしている。長居しないで、さっと出た。ところが、不幸は重なるもので、浴衣を入れたロッカーの鍵が開かなくなる。あたふたしていると、あとから来た男に、早くどけといわんばかりの、無言の圧力をかけられた。少し脇によって、男と小さな娘をやり過ごし、また、調子の悪い、小さなロッカーのカギをいじくった。さいわい、なぜか、鍵はあいた。一瞬、脱衣場に電話などないし、素っ裸なのに、どうしようかと途方にくれた。ま、よかった!
早々に部屋に戻った。おそらく、テレビをつけ、脇に寄せた座卓の上で、ノンアルビールを飲み、おにぎりと唐揚げを食べたのだ。唐揚げはまだ、少し暖かくてうまかった。そうそう、この宿の冷蔵庫は、型は古いが効き目はよかった。というか、部屋に入った際に、冷蔵庫の温度を<10>にしておいたのだ。ビールは保冷剤入りのバックに入れて来たから、それだけでも冷えていたのに、さらに冷蔵庫で冷やされ、おかげで、自宅で飲むような冷たさになっていた。うまかったと思う。
メモによると、もっとも今回は<メモ>ですらない走り書きだが、午後四時にホテルに到着したことになっている。だが、窓から望遠で撮った写真の時刻が、17時になっていた。到着して、受付、部屋に入って着替え洗顔、カスタマイズ?温泉、食事。ま~、これだけのことを一時間でやってのけたとは到底思えない。そうだ、食事の途中で、漁港が夕陽に染め上げられたので、写真を撮ったのかもしれない。とはいえ、手持ち望遠で、ピントが危うい。一枚だけ撮ってすぐにあきらめ、また食事を続けた。これなら話が合う。いや、おそらくそうだったのだろう。その際、横着して三脚をもって部屋に入らなかったことを、少し後悔したのを覚えている。
その後、食事を終え、撮影画像のモニターをした、と思う。だが、そのうち、六時ころ、少し寝てしまった。さすがに、朝の三時から動き回っていたのだから、疲れたのだろう。とはいえ、八時ころに起きて、持参したお菓子などを食べたような気がする。もっともまたすぐ、寝てしまった。
夜中に、何回か、トイレに起きたはずだ。その際、窓の外の夜景を見た。右半分は海で真っ暗。ただし、赤いランプが三つ点滅している。うち一つは、間隔が短く、しかも光量が強い。すぐ近くの防波堤に設置されているのだろう。ただし、防波堤灯台でない。なぜなら、いま窓から見える範囲にある防波堤灯台は、乙浜漁港の、海の中の赤い防波堤灯台だけだからである。眼下の海っぺりは今日の午後、この目で見て回ったのだ。
その、手前の光量の強い赤い点滅と、その奥の、やや小さな赤い点滅の間に、鮮やかな緑が点滅している。最近仕入れた知識が役になった。すなわち、防波堤灯台の陸へ向かって右側の赤い灯台は、赤い光を点滅し、左側の白い灯台は緑の光を点滅する。つまり、奥の赤い点滅は、乙浜防波堤灯台に間違いない。とはいえ、緑の点滅は、何なのだ?それらしき灯台は見当たらなかったが。もっとも、左奥には、もう一つ赤い点滅が見える。これも何なのか、よくわからない。
ところで、いま一度、サッシ窓から見える夜景を見直した。右半分は暗い海、三つの赤い点滅と、一つの緑の点滅が見える。正面には、高層のマンションが建っている。階段や部屋の明かりが点々としている。明るい。ま、景観的には邪魔だが。左側は、おそらくは新興の住居地で、民家の光がまばら。その間をぬって生活道路の街灯が点々としている。さびしくもなく、にぎやかでもなく、普通の住居地の穏やかな夜景だ。
要するに、正面、左半分は、さほど興味がないわけだ。重いサッシの窓を開けたのだろうか。少し冷たい海風、波音がはっきり聞こえる。視線を、暗い海に戻した。魅かれたのは、緑の点滅だ。これまで、一度も見たことない光景だった。しかも、その緑の意味を理解していた。むろん、その奥の、というか上の、赤い微かな点滅も気になった。真っ暗な海へ向かって、一晩中、ペアになって、赤と緑の点滅を繰り返すのだ。
静かにサッシ窓を閉めた。遮光カーテンもしっかり閉めたと思う。朝日が眩しいはずだ。横になった。波音が微かに聞こえた。幸いなことに、物音はほとんどしなかった。いや、一度くらい、寝かかったときに、びくっとしたかもしれない。明日の予定を思った。七時ころまで寝ていようかな。七時起床、八時出発。波音が一段と高まった、ような気もする。




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