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此岸からの風景

<日本灯台紀行 旅日誌>オヤジの灯台巡り一人旅 長~い呟きです

2021

01/24

Sun.

10:38:49

<灯台紀行・旅日誌>2020 

Category【灯台紀行 南房総編

<灯台紀行・旅日誌>2020南房総編#11 安房白浜灯台撮影

車に戻った。隣にグレーのワンボックスカーが止まっていた。サイドドアーが開いていて、その前で、日焼けした筋肉質の女性が、腰にタオルを巻いて、パンツを脱いでいる。む、一瞬見て目をそらした。水着に着替えているようで、これから<ダイビング>をするような雰囲気だ。美人で、贅肉のない均整の取れた体つき、健康的だ。今回の旅で、唯一<女性>を感じた瞬間だった。

走り出した瞬間に、黄緑の塔も、ダイビング女性のことも頭から消えた。じきに、海にせり出した野島岬が見え、白い灯台も小さく見えた。右手に、広い駐車場が見えたので、急遽、車を寄せた。外に出て、望遠カメラで狙った。だが、遠目すぎる。それに、手前の民家が邪魔だ。写真にはならない。すぐに車を出した。

白浜の野島埼灯台に戻ってきた。海沿いの道だ。白い八角形の灯台に、ちょうど西日があたっている。思い描いていた情景だ。ところが、駐車するスペースがない。片側一車線で、右側は歩道、左側には、大きなホテルがびっしり並んでいる。ハザードをつけて路駐することすら憚られる。

と、白いホテルの間に私道がある。そのわきに一、二台車が止められるスペースがある。むろん私有地だろう。だが、そこしかないのだ。ちょっと行き過ぎたのでバックした。私道に入り、車を私有地に少し寄せて止めた。ま、これなら、脇を車が通れる。なんか言われたら、ごめんなさい、だ。ハザードをつけた。急いでカメラ二台と三脚をもって、道路を渡った。

海沿いの歩道で、ささっと三脚を組み立て、望遠カメラを装着した。瞬時に、アングルを決め、ピントを合わせた。ここぞとばかりシャッターを押しまくった。望遠の方は、すこし寄ったり引いたりもした。背景の雲の様子もいい。撮れたと思った。ものの五分くらいだろう。すぐに引き上げた。幸いにも、無断駐車を、咎められることもなかった。ヒットアンドウェイ!ジジイになったとはいえ、まだまだ素早い行動ができるんだぜ。気分は良かった。

車に乗り込んだ。躊躇っていたことをやり遂げたような気分だった。今度来るときには、灯台に最も近い、このピンクのホテルに泊まるという手もあるな、とフロントウィンドー越しに左側を見上げた。野島埼灯台の前を通り過ぎた。西日。明かりの具合からして、今日はもう正面から撮る必要もあるまい。素通りして、道路沿いのスーパーに寄った。食料の調達だ。下調べの段階では、白浜にスーパーはこの一軒だけだった。

店内は、閑散としていた。弁当売り場を探した。盛りだくさんで、意外に安い。¥500ほど。脇に惣菜コーナーがあり、何か小さな魚のフライがあった。買おうかな、ちょっと迷った。いや、弁当だけで十分だろう。さほど食欲があるわけでもない。あと、朝食用に菓子パンを二つほど買ったような気がする。レジの対応は普通。いや、中年の控え目な女性、おそらく奥さんパートだな、やや感じがよかった。

さて、南房総旅の最後の撮影地。安房白浜灯台へ向かった。海沿いのやや見慣れた光景だ。乙浜漁港があり、泊まっているホテルが見えた。目印の、廃業している工場を右手に確認。その先の細い道を右折。浜沿いの悪路に入った。昨日車の止まっていた駐車スペースが空いている。もっと奥まで乗り入れるつもりだったが、気が変わって、車を寄せた。歩いても、大した距離じゃない。それに、ここなら、万が一にもクラクションを鳴らされる心配はない。

三脚と望遠カメラは車の中に残した。車上荒らしの可能性はほとんどないのだ。何しろ、辺りには、まったく人の気配がない。カメラ一台首にかけ、悪路を歩き始めた。と、向こうからデカいSUVが来る。少し脇により、車をやり過ごした。その際運転者をちらっと見た。いわゆる<釣り人>で、それらしい格好をしていた。サングラスをかけ、すました感じで正面を見ている。なんだか気にくわない野郎だ。自分の縄張りに、でかい車で侵入されたような気分だったのかもしれない。釣り場の下見だろう、行き止まりまで行って、Uターンしてきたんだ。奥まで行かなく正解だったよ。

また、悪路の真ん中を歩いた。水たまりを避けながら、軽登山靴の恩恵を受けた。岩場に立つ灯台が見えてきた。天気がイマイチだった。雲が多い。日差しが少ない。だが、青空が雲間から少し見えている。その、青が尊かった。美しかった。オレンジのカンゾウも、昨日のままだった。しゃがみ込んで、挨拶代わりに一、二枚撮った。背景の灯台はぼかしてみた。

今、撮影写真で確認した。撮り始めたのは午後四時。引き上げたのは午後五時だった。ということは、ほぼ一時間、灯台前の岩場を右往左往していたことになる。たしかに、この間、空の様子は、目まぐるしく変わっていった。とくに、背景の空は、まさに、刻一刻と変化した。雲が流れ、青空が見える。と、その刹那、どこからともなく、また雲が流れきて、青空を隠す。しかも、その雲の形、空の様子は、まさに不定形、変幻自在、一所にとどまることがない。

岩場の間に、打ち捨てられたコンクリの構造物があった。何かの設備の残骸だろう。おそらく、海辺に建っている閉鎖された工場のものだ。だとすると、排水か何かを海に流していたのかもしれない。よいしょ、とその上にのぼった。平均台位の幅の上を少し歩いて、岩場の右側に回り込んだ。自分の背後が西。灯台の右側に、かすかに、西日が当たっている。ただし、少し横にフリすぎている。フォルム的には、さほどきれいな横顔ではない。

その西日にも、しばしば雲がかかる。その度に辺りが薄暗くなり、灯台の魅力が半減する。こういう時は撮ってもしょうがない。と思いつつシャッターを押し続けた。ふと寒いなと思った。海風が冷たかった。薄手のロンT一枚だ。これからは、パーカが必要だな。夏が終わっていたのだ。

遠くに、ぽつんと、豆粒大の白い車が見えた。悪路際に止めた自分の車だ。さらに視線を伸ばすと、海に突き出た岩場に、釣り人のシルエットが見えた。二人いた。海へ向かって竿を大きく振っている。さっきの野郎かもしれない。まだ若いのに、平日のこの時間帯に釣りをしている。いい気なもんだ。とはいえ、灯台の前をちょろちょろしながら、飽きもせず写真を撮ってる爺がいるな、と向こうからは思われていたかもしれない。この世界の中で、たしかに、孤立していた。だが、泣きたくなるような孤独は感じなかった。

西の空を振り返った。勢力を失った太陽が、岬の中ほどに沈んでいく。落日だ。だが、夕日は雲に覆われ、辺りがオレンジ色に染まることはなかった。言ってみれば、中途半端な、そこそこの夕焼けだった。灯台は、断続的に、いくらかの波しぶきを受け、依然として岩場に立っていた。ただし、その表情は暗かった。もう写真にはならない。足元を確かめながら、そろそろと岩場を歩いて、引き返した。

完璧な夕焼け時に、もう一度撮りに来る必要がある。それに、この灯台は、午前中の方が、きれいに撮れるかもしれない。しかしながら、絶対また来る、とは思わなかったような気がする。かといって、納得のいく写真が撮れたわけでもないだろう。見ると、オレンジのお花たちも暗くなっていた。水たまりをよけながら、悪路を歩いて車に戻った。

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